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犬の巨大食道症(食道拡張症、アカラシア)

獣医師
黒田 美津穂
[記事公開日] 2021-12-10 [最終更新日] 2021-12-10
ゴハンを食べた食後も唾液が止まらないのか、何度も飲み込んでいる様子。そのうち唾液とゴハンがまったく消化されずもどしてしまう。ウチの犬はなんの病気だろうか? あまり見ない病気です。少しずつ説明していきましょう。
[ 目次 ]
犬の巨大食道症(食道拡張症、アカラシア)
食道は口から胃まで食物を運ぶ器官です。巨大食道症、別名食道拡張症、アカラシアは、食道が拡張し運動が低下します。固体のもの、液体のものを胃に送り込めなくなり、食道にとどまっていて、時間がくると口からもどすといった症状を引き起こす病気です。

症状

巨大食道症では食べ物や水や唾液などが食道にたまるので、それを吐き出します。
口や喉、食道から吐き出すことを吐出といい、胃以降まで送られたものを吐き出すことを嘔吐といいます。吐出の最も多い原因として巨大食道症が挙げられますが、犬が吐くとき、吐出と嘔吐を鑑別することが難しいです。吐出の場合は、溜まっていた物が物理的に出てしまうだけなので、悪心、ムカムカするような気持ち悪さがありません。
また巨大食道症は吐出が頻発するので、肺の方に吐物がいき誤嚥性肺炎がよく起こります。
誤嚥性肺炎は急変し突然死を招くこともあります。

原因

先天性の場合と後天性の場合があります。
先天的の場合は、1歳齢までに診断されることが多いです。食道に分布する神経の欠損や異常により発症するのではないかといわれてますが、いまだにはっきりせず特発性です。
後天性の場合は、重症筋無力症、副腎皮質機能低下症、多発性筋炎、重度な食道炎、甲状腺機能低下症、全身性紅斑性狼瘡、鉛中毒、食道の閉塞性疾患、食道腫瘍や異物、先天的な血管の異常である血管輪(右大動脈弓遺残症)が胸腔で食道の外側などによって起こります。

好発犬種

特定の血縁関係に多く発症し、先天性の巨大食道症が疑われた犬種として、アイリッシュ・セター、グレートデーン、ワイヤー・フォックス・テリア、ジャーマン・シェパード、ラブラドール・レトリーバー、ミニチュア・シュナウザーなどが報告されています。後発性の巨大食道症はどんな犬も起こる可能性があります。

診断方法

巨大食道症では単純X線検査、バリウムを飲ませて行う造影X線検査で食道の拡張が観察されることが特徴です。
バリウム造影X線検査をすると、飲んだバリウムが胃へ進んでいかず食道にたまっています。正常では飲んですぐ胃に入るため、食道にバリウムが残ることはありません。
バリウムが食道にたまったことを確認したら、5分間2本足の体勢で立たせます。重力の力を借りてバリウムが多少食道から胃へと流れていきます。さらに5分間2本足体勢をつづけるとほとんどが胃に入っていきます。
血液検査、超音波検査、病院の検査会社に提出する検査などは、後天性の巨大食道症で認められる疾患を調べます。

巨大食道症の食餌方法

食餌を高い台に置いて、犬が後肢だけ2本足で立ちながら食餌を摂る方法です。この方法で吐き出す行動がずっと減ります。食道が動かず食餌が胃に流れていかない子も、重力を利用して食道から胃への流入を促進します。
ゴハンを食べて、食後も15~30分、そのまま食道と胃が縦になるようにします。飼い主さんに抱っこして過ごすのも有効です。吐出を防止し、今後は誤嚥に気をつけてください。
犬を立たせるのが難しければ、ダンボールや木箱に入れて立たせる方法があります。いろんな箱を作ってるヒトがいるので、ネットを参考してみるといいでしょう。

犬の巨大食道症(食道拡張症、アカラシア)

巨大食道症の胃瘻チューブ

内視鏡を使って胃瘻チューブを腹部につけます。
1.腹壁と胃壁が接している部分にお腹の外側から針をさします。その針を使って胃内にワイヤーを挿入します。
2.内視鏡を用いて胃のワイヤーを見つけ、口の外まで引っ張り出します。
3.口の外にあるワイヤーにチューブとカテーテルを結び付けた後、胃に戻します。腹壁側からワイヤーとカテーテルを引っ張ることにより、カテーテルを胃壁、腹壁に設置します。

瘻孔が安定しても、カテーテルにより皮膚の炎症が生じるので注意が必要です。瘻孔から胃液のもれが見られる場合、洗い流して清潔に保ちましょう。

まとめ

巨大食道症は、発症の原因が不明なことが多く、治療が難しい病気です。症状が見られる場合は、早めに獣医師に相談しましょう。

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