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猫も熱中症になる?!夏になったら要注意、飼い主さんができること

獣医師
藤井 ちひろ
[記事公開日] 2021-07-14 [最終更新日] 2021-07-14
【概要】
「熱中症」という言葉はみなさんご存じですよね、しかしそれは人やワンちゃんに限るものと思われてはいませんか?
実は猫も熱中症にかかるんです、しかも人や犬と同じようになってしまうと非常に重症化しやすく緊急で治療が必要になってしまうこともあるんです。

残念なことに最悪命を落としてしまうことがあるだけでなく、その後の身体の状態に影響を与えかねない熱中症、ぜひ正しい知識を身につけて猫ちゃんを守ってあげてください。
[ 目次 ]
猫も熱中症になる?!夏になったら要注意、飼い主さんができること
猫は犬に比べると気温の変化に強く、またそもそもほとんど外に行かないため「熱中症なんて気にしなくていいんじゃない?」と考えられるかもしれません。
しかし、いざという時のために正しい知識を身につけておけば、災害時にもきっと猫ちゃんを守るためになりますよ。

熱中症はどんな病気?

熱中症は、日本の夏に多い高温多湿(気温が高くまた湿気も高い)の環境のもとで、猫の体温が高くまた脱水に陥ることで起きてしまう全身に影響が及ぶ病気です。

ペットでは断トツで犬が多くかかりますが、猫にもやはり発生し、なってしまえば重症度が高くまた緊急治療が必要になってしまいます。

条件がそろえば一年中起こりえる病気ですが、やはり夏の発生が圧倒的に多く、猫自体の身体の特徴や年齢、持病によってもかかりやすいかかりにくいの違いがあります。

熱中症になって異常な高体温になると、細胞一つひとつを形作っているタンパク質の異常が起こるため、全身の臓器が障害されてしまいます。
また、その状態が改善されず続いてしまうと、脱水がより進み臓器がますます機能が低下してしまう多臓器不全(複数の臓器が一緒に機能を失ってしまう危機的状況)となってしまいます。

熱中症の症状としてはよく知られた口を開けてハアハア呼吸する開口呼吸や、心臓の動きが早くなる頻脈、眼や口の粘膜の充血などがまずは見られます。
さらに進むと、ぐったり虚脱し動けない運動失調に陥り、吐いたり下痢をしたり、最終的には意識がなくなり痙攣や震えなどの神経異常を起こします。

熱中症は何が原因なの?

他の動物と同様、猫も高体温と脱水が起こってしまうことが大きな原因となります。

①高温多湿(クーラーの効いていない室内、じめじめした換気の悪い部屋の一角、締め切った窓辺など)に長時間いること

②体からの熱を逃がすことができなくなる熱放散能の低下(いわゆる鼻ぺちゃの短頭種の猫、毛が密で長い長毛種、過度に肥満している猫、体温調節異能が未熟または衰えている子猫や老猫、喘息などの呼吸器の病気、心不全、腎不全の猫はこの可能性が高くなります)

③長時間の水分不足(ドライフードのみでほとんど水を飲まない猫、一日に排尿回数が2回程度と少ない猫はこれになってしまう恐れがあります)

これらの条件がそろってしまうことが、熱中症を引き起こす原因となってしまうのです。
最近は、ヒマラヤン、ペルシャ、エキゾチックショートヘアーなどの独特のかわいらしさを持つ短頭種の猫ちゃんの人気が高くなっていますが、これらの猫は気道(鼻やのど、気管など)が異常に狭く他の種類に猫に比べ簡単に呼吸不全の状態になってしまうことがありますので特に注意が必要です。

猫も熱中症になる?!夏になったら要注意、飼い主さんができること

熱中症はどんな検査をするの?

熱中症が疑われる状態の猫が来院すると、緊急治療が必要となるためさまざまな治療が同時進行で行われます。

①問診:猫のいた環境や水が飲めていたかなど、その状態になった原因を探ります。

②身体検査:お尻から直腸温度を測定し、異常高体温になっていないか確認します。同時に心拍や呼吸数、粘膜の充血や意識レベルなどもチェックされます。

③血液検査:体の中の臓器がどの程度影響を受けているのかを確認するため、一通りの血液検査や尿検査が行われます。脱水の影響を受けやすい腎臓や肝臓、また筋肉の損傷やショックによる血糖値の低下は特に心配されます。

また脱水によって、血液の中に細かい血栓ができてしまうことがあり、それがより状態を悪化させてしまうことがあるため、血液の状態も調べる必要があります。

その他、下痢や吐き気などの消化器症状や呼吸数増加による腹部の膨満(空気を飲み込みすぎてお腹が膨れてしまう)などがある場合は、超音波検査やレントゲン検査なども行われることがあります。

熱中症はどんな治療をするの?

熱中症の治療の目的は、異常に高くなってしまっている体温を下げること、そしてダメージを受けた臓器の機能を回復することです。少しでも早くこれらの治療を行うことが猫の命を助け、その後の状態にも大きく関わってきます。

①冷却:急に強い冷却処置を行うと血管が収縮して循環が悪くなり、かえって熱が下がらなくなることがあります。また温度差によるショックも起こしかねないため、30~60分かけて徐々に体温を下げていくことになります。

②酸素吸入:呼吸状態が悪くまた意識が朦朧としているときは酸素をマスクやカテーテルなどから吸わせる必要があります。

③点滴輸液:熱中症によるショックは低血圧、血液量の低下、心臓の動きの低下という異常をおこしているため、それを改善するため適切な静脈点滴を大量に行うことが必要になります。

④症状を緩和するための治療:熱中症は全身性に影響を与える病気であるため、さまざまな症状があらわれます。検査や状態によってその猫に必要な、抗生物質や利尿薬、消化器運動改善薬や神経作動薬などが追加されます。

まとめ

普段ほとんど外に出ることなく、クーラーの効いた室内でのんびり過ごしている愛猫、しかし近年夏に多いゲリラ豪雨による停電や交通機関の麻痺、お住いの地域の冠水など災害はいつ起きるかわかりません。
冷房器具だけでなく、クールマットやいくつもの水のみ場を用意するなど、いくつもの準備が必要です。

万が一猫の呼吸が早く体が熱くぐったりしているようであれば、まずは常温の水でびしょびしょに濡らしたタオルで体全体を包み、脇の下や首、脚の付け根などの大きな血管がある部分にタオルで包んだ保冷剤をあてがいましょう。
くれぐれもあわてて冷水にいきなりつけたりはしないよう、気をつけてくださいね。

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