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犬の救命救急「飼い主も知っておこう」いざという時あなたが出来る事

愛玩動物救命士
若林 亜希子
[記事公開日]  [最終更新日]
救命救急って、どんなことをするの?
それは自分でもできることなの?

小さな命が消えそうなとき、何もできない悔しさを感じたひと。
また「そんなとき、私はやってやるぞ」と思っているひと。

救命救急について、少しご紹介させて頂きます。
[ 目次 ]
犬の救命救急「飼い主も知っておこう」いざという時あなたが出来る事
アメリカの獣医師協会のお話ですが、動物病院に緊急で運び込まれるペットちゃんのうち、
搬送前に心肺蘇生法や心臓のマッサージをしていた場合の救命率は
「25%以上」という統計が出ているそうです。

いざという時に『何にもできない…』『見ていることしかできない』
そう思ったことがある人もいるのではないでしょうか?

でもその前に、「もし知っていたら」救える命があるかもしれません。

自分の大切な家族の愛犬・愛猫のためにも。
災害や事故などで、危険な状態に成っている犬や猫に出会ったときのためにも。

できるかどうかは置いておいて、少し覚えてみませんか?

■救命救急とは

救命救急とは、疾患、外傷、中毒などに対して
【緊急な延命蘇生医療の必要がある者に行われる医療行為】です。

救急医療には「覚知」「搬送」「診療」の3つが重要となります。
意識確認をし、バイタルサインを参考に、心肺停止などの重症例では蘇生処置も加えます。
「通報」「蘇生処置」「搬送」「診療」の4つを「救命の連鎖」と呼ぶこともあります。

救命に関する単語は、正直使い慣れていない私たちですが、
お仕事などで「報告」「連絡」「相談」のことを「ホウレンソウ」と言ったりしませんか?
『その件は、必ずホウレンソウだよ!!』と言う感じに使う時ありますよね。

救命のときも同じように、スムーズかつベストの答えを導き出すために、
順番や流れを把握しておくことが大切なのは一緒です。

犬や猫の救命救急とは、
「ケガの手当て」「人工呼吸」や「CPR(心肺蘇生法)」のことを言います。
(人間の場合は「マウスtoマウス」ですが、犬や猫の場合は「マウスtoノーズ」になります。)

犬の救命救急「飼い主も知っておこう」いざという時あなたが出来る事

■救命、心肺蘇生術についてのニュース

これは人間のお話ではありますが、
「人工呼吸は不要。心臓マッサージに効果あり」と言うニュースがあったそうです。

突然意識を失って、倒れた人を蘇生させるための応急処置は、
心臓マッサージだけで効果があり、従来進められてきた人工呼吸は必要ないことがわかったそうです。
(日本救命医学会関東地方班の研究班の調査)

そばに人が居る状態で突然心臓が止まって倒れ、
救急車で病院に運ばれた、18歳以上の患者を知らべた結果です。

① そばにいた人から、人工呼吸と心臓マッサージを受けた人。
② そばにいた人から、心臓マッサージだけを受けた人。
③ 救急隊到着まで、蘇生処置地を受けなかった人。

倒れてから30日後の時点で、介護なしで日常生活が送れる状態に回復した割合は
① 4%
② 6%
③ 2%
だったそうです。

そして、蘇生措置をほどこした人は
「一般の人」と「通りかかった医師らの医療関係者」と分けて分析しても、
効果に差が無かったと言うことでした。

助けたいと思う側も、とても慌てている状態です。
『どうするの? 息を入れるの?? 心臓を押すの???』と、あれこれできない状況だと思います。
そんな時は、心臓マッサージの方を優先的に行うほうが良い、と言うことに成ります。

『一般人でもとりあえず必死にやった』と言う人たちが、医療関係者と同じように
人を助けることができたってことですよね。

これは、相手が動物だとしても同じことが言えると思いませんか?

犬の救命救急「飼い主も知っておこう」いざという時あなたが出来る事

■実際にどんなことをしていくのか

【救命救急のABC】

A=気道(Airway)
B=呼吸(Breathing)
C=心臓(Circulation)
(心臓の英語ではありません。チェックをする項目として、ここでは「循環」を指します)

この順番に素早く確認し、救命処置をします。

① A=気道確保 まず第1に気道の確認です。
   ・犬を優しく横向けに寝かせてください。
   ・注意しながら、頭と首を伸ばして、頭を少し後ろにそらす感じにします。
   ・口の中にある異物、吐いたものを全て取ります。
   ・歯の間から舌を引っ張り出します。

② B=人工呼吸 次に呼吸の「有り・無し」を確認します。
   ・胸を良く見て、軽く触れて、動いているかを確認します。
   ・息の音が聞こえるか? 息が鼻から出ているかを確認します。

●ここで『息をしている』場合は
⇒犬にとって一番楽な姿勢にしてあげましょう。
⇒普段の音とは違う音が聞こえていないか?
(喉がゴロゴロ言っていたり、ヒューヒューと言う音などにも注意です)

●ここで「息をしていない」場合は
⇒もう一度、気道を確認。そして確保。
⇒人工呼吸を始めます。
  (急いでいる時になんでもう1回確認するんだよ!と思われると思いますが、ここ大切です。)

③ C=血液が流れているかどうかの確認をします。
   ・鼓動の確認。左前脚のひじを胸側に寄せて、その位置に鼓動があるか確認します。
   ・脈拍の確認。指を軽く太ももの付け根内側にあてて、脈を確認します。

●ここで『鼓動を感じる。脈を感じる』場合は
 ⇒横にした体勢や、犬が自然に取りたがる姿勢のまま、病院へ急ぎましょう。

●ここで『鼓動や脈を感じない』場合は
 ⇒犬の体の右側を、下にするようにして寝かせます。
 ⇒心肺蘇生法・心臓マッサージを始めます。

ここまできちんと調べてからの「心肺蘇生法・心臓マッサージ」です。

犬の救命救急「飼い主も知っておこう」いざという時あなたが出来る事

      ※意識がある犬に、絶対に人工呼吸や心臓マッサージをおこなってはいけません※

■今すぐに出来ることをシッカリと

救命救急は「緊急時」のときのみの対応です。
自分で覚えることも大切ですが、通常の準備のほうがもっと大切です。

人間でしたら、すぐに救急車を呼ぶ事が出来ますが、
ペットちゃんの救急時は残念ながら、頼る場所がなかなかありません。
『ペットは家族』と言う言葉は、浸透してきてますが、
人間と同じ扱いが受けられることは、まだまだ少ないのが現状です。

と言うことは「自分がレスキュー隊員」でもあります。
直接助けることだけではなく、病院に連絡をしたり、情報を伝えることも大切な任務です。

・かかりつけの動物病院の連絡先を、シッカリ登録しておきましょう。
(かかりつけが無いままのかたは、今すぐ動物病院をチェックしておくことをお勧めいたします)

・24時間対応で、自分が行くことが可能な動物病院も調べておきましょう。
(かかりつけの病院に聞くと、教えてくれることもありますよ)

なんでも調べられる時代ですが、こんな非常事態のときに探している時間は勿体ないです。
慌てていますので、手だって震えているかもしれません。

出先でのトラブルの際は、その場所から近い動物病院を探すことは大切ですが、
まずは、今までの状態やこちらの情報を理解してくれている、かかりつけの動物病院に
すぐに電話をかけられるようにしましょう。

犬の救命救急「飼い主も知っておこう」いざという時あなたが出来る事

■まとめ

いかがでしたか?

「救命救急なんて、難しい」「そんなの覚えたところで、出来ないなら意味がない」
そう言う思うひともいるかもしれませんね。

でももし、自分の愛犬・愛猫ちゃんが目の前で事故にあったらどうでしょうか?
「なんとかしてあげたい」そんな気持ちを、飼い主さんでしたら思うのではないでしょうか。


ちなみに、
「自宅にいて、すぐ近くに病院があって、その病院が開いている時間で、送ってくれる人がいる。」
そんな好条件が揃っているときは、自分でなんとか対応しようとは思わず、
急いで動物病院にお電話をして、指示を頂いてくださいね。

なんでもかんでも、「救命だ」と安易に考えるのもよくありません。
素人判断が、かえって悪化させてしまう場合があることも、頭に入れておく必要があります。


自分の愛犬・愛猫ちゃんの「いざ」は無いのが一番ですが、
「備えあれば患いなし」の精神で、家族のために覚えておくのも良いですよね。
自分が被災した際や、被災地でのボランティアなどでも役立つかもしれません。

「救える命」があるのなら、知っておいて損はナシです。
いざと言うときにあなたが出来ること。
その中のひとつに、犬の救命救急方法も加えてみませんか?

   ★飼い主の皆さんと大切なワンちゃんが、1日でも1分でも、長く一緒に過ごせますように★

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