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愛猫の歯が折れた!欠けた!に気づいたら・・・

獣医師
藤井ちひろ
[記事公開日]  [最終更新日]
愛猫にデンタルケアの習慣はありますか?
もし難しくても、遊んでいるとき、休んでいるときねこちゃんの歯をよく見てください。もし歯の先が折れていたり、表面が欠けていたりしたら、それは放っておくと決していいことにはなりません。
[ 目次 ]
愛猫の歯が折れた!欠けた!に気づいたら・・・
最近はねこちゃんでもデンタルケアをがんばってくれる飼い主さんがとても増えています。健康を保つためには欠かせず、それが習慣になるのはとてもすばらしいことです。

歯をきれいにすることはもちろん大切ですが、歯そのものが欠けてしまったり折れてしまったりすることが実はあることをご存知でしょうか。

どうしてそんなことになってしまうのか、そしてそうなったらどうしたらいいのか、ならないためにはどうしたらいのか・・・ぜひ知っていただきたいことです。

猫の歯のことを知りましょう

猫の歯の生える仕組みや構造は人間と似ています。

・歯の生え変わり
生後1ヶ月くらいから乳歯が出てきます。猫種にもよりますが、そこから2~3ヶ月で乳歯が生え揃います。
猫の完全な乳歯の本数は26本です。
永久歯は早い子だと生後3ヶ月位から生え変わり始め、6~7ヶ月で全ての歯が永久歯となります。
永久歯の完全な歯の本数は30本です
ただし歯の本数に関しては個体差・品種差があり、乳歯遺残など1歳を過ぎても乳歯が抜けないままのこもいます。

・猫の歯の構造
エナメル質:体の中で最も硬い組織であるエナメル質は、ハイドロキシアパタイトという物質の結晶成分から成り立っています。丈夫なイメージの犬の歯ですが、実際は人よりもこのエナメル質は半分以下とかなり薄いのです。
象牙質:象牙質は歯の主な構成組織であり、歯ぐきより上の冠部はエナメル質により、下の歯根部はセメント質で覆われています。象牙質は骨よりも硬く密になっており、歯髄を保護する役割があります。
歯髄腔:神経・血管などからなっています。歯へ刺激を痛覚として感じとられます。

このように歯の構造はシンプルで、外層のエナメル質、中層の象牙質、そして内側中心部の歯髄組織からなっています。
エナメル質がセメント質に置きかわること以外、同じ構造が歯の根元までずっと続いています。
歯の根元である歯根部は歯槽骨で支えられ、その周りを歯肉で覆われています。

愛猫の歯が折れた!欠けた!に気づいたら・・・

歯が折れたり欠けたりしたらどうなるの?

歯が折れたり一部がかけてしまったりすると、歯を守るべき外側のエナメル質、歯の形を保つ象牙質を失い、中心部で守られているはずの歯髄組織がむきだしになってしまいます。
またはだけでなくその周辺組織にもダメージがおよぶこともあります。

可能性がある症状としては
・歯がぐらぐらする
・歯がしみる
・歯の神経が死んで変色する
・歯が抜ける
・歯を支えている骨が骨折する
・歯肉から出血する
といった事が起きます。

歯の組織の一部である歯根膜、骨、歯肉の損傷は治癒します。
神経の損傷はある一定以上の炎症になると収まらず、神経が壊死します。
残念ながら歯の損傷は戻りません。

愛猫の歯が折れた!欠けた!に気づいたら・・・

どんな治療が必要なの?

歯が折れたり欠けたりしている程度、時間によって治療は異なります。
人間と異なり、猫は大きく口をあけてじっとしていたり、正しい姿勢で繊細なレントゲンを撮ることはむずかしいため、検査であっても麻酔や鎮静が必要になる場合があります。

また猫は機能として前歯である切歯を使うことはあまりありません。そのため、炎症を起こしたり不自由を感じることがないため、無治療で様子をみたり抜歯になることがほとんどです。

しかし大切な牙である犬歯はできるだけ残す治療が検討されます。
①エナメル質のみの欠損
歯科用のレントゲンや診察を行い、歯髄がむきだしになったり傷ついていないと診断された場合、コンポレットレジンなどで埋めて歯の表面の保存することが可能です。しかし、歯科レントゲンやレジンに対応している動物病院は、歯科に力を入れている施設に限られます。一般的な動物病院では定期的に歯や周囲の状態を確認し、炎症や歯の劣化が見られると抜歯を行うこともあります。


②歯髄が出ているけれど重度の感染がない場合
歯の外側だけでなく、中心部の歯髄がむき出しになってしまっていると、上にあげたようなさまざまな悪化のリスクがあります。そのときの状態に合わせ以下のような処置が検討されます。
・歯髄覆罩 シズイフクトウ :歯髄を抗生物質などで多い歯髄を守る治療
・根管治療 コンカンチリョウ : 損傷や感染で回復が見込めない歯髄を取り除き、代わりに抗菌効果のある物質をつめて歯を保存する治療
・根尖切除 コンセンセツジョ : 破損した歯の根元やその周りの傷んだ組織を取り除く治療

③歯髄が出て重度の感染がある場合
その他の歯や口の中の組織への影響を考え、歯を抜く抜歯が最適とされます。
抜歯を行った後、残った組織をきれいに整え、根管治療や根尖切除を行うこともあります。

どんなことに気をつければいいの?

歯が勝手に折れるということはありません。
歯を痛めやすい原因としては①交通事故 ②落下事故 ③ストレスが考えられます。

①交通事故
外に行くねこちゃんが避けては通れない自動車や自転車との事故の危険性。軽く跳ねとばされただけでも、顎や顔を打ったことで歯が折れたり欠けたりしてしまうことがあります。
やはりお外にはいかないことが一番安全を守ってあげられるのではないでしょうか。

②落下事故
室内飼育のねこちゃんでも安心はできません。ちょっとした不注意で落下してしまい、十分受け身がとれないと上半身や頭部を強打することで歯が破損することがあります。
特に高齢になってきた猫ちゃんは、身体能力を過信せずお家の中の危険スポットを確認してあげてくださいね。


③ストレス
他の同居猫との折り合いが悪い、引っ越しをした、周りの環境に変化があった…さまざまなストレスが理由で、猫が家具などの硬いものをかじったり破壊したりする行動に出ることがあります。猫がかじり続けるのに適しているわけではありませんので、一心不乱にかじっているうちに歯を痛めてしまうのです。
この場合まずはその原因をしっかりと見極めることが対策の第一歩です。

愛猫の歯が折れた!欠けた!に気づいたら・・・

まとめ 

たかが歯、されど歯です。ほんの小さな欠けから、健康を損なうような重病になってしまうことがあるのが歯の病気の怖いところです。
日ごろからねこちゃんとスキンシップをとるときは、歯がきれいかどうかだけではなく、歯の色や形にも気を配ってあげてくださいね。

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