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獣医師監修:愛犬の眼が開かない?犬の緑内障について知りたい!

獣医師
藤井 ちひろ
[記事公開日]  [最終更新日]
ある朝気づくと、愛犬の眼が片方閉じっぱなしになってしまい、まるでウインクしているような顔になっています。閉じた目には目ヤニもついて、なんだか気にしているようです。
眼を開けさせてようとしても、嫌がってしまいよくわかりません。
このまま様子をみていいのでしょうか、それとも病院に連れて行った方がいいのでしょうか?
[ 目次 ]
獣医師監修:愛犬の眼が開かない?犬の緑内障について知りたい!
緑内障という病気をきいたことはありますか?ヒトでは有名な眼の病気の一つで、40代以上の患者が多く見られます。実は犬も緑内障になってしまうことがあり、最悪視力を失ってしまうこともあります。しかし緑内障は早く治療を始めることで愛犬の視力を守ることができる病気です。
少し長い内容ですが順を追って説明しているので、ぜひ読んでみてください。

犬の眼が開かないのはどんな病気が考えられるでしょうか?

いつもはぱっちり開いている眼が閉じてしまっている場合、多くは痛みを感じています。
痛みの原因はさまざまで、シャンプーが目に入ってしまったり、眼の表面をこすってしまったりすることによる痛みが多く見られます。
しかし、そういったことが全くなくても、眼の中から痛みを感じる状態になっていると表面は異常がなくても同じように眼を閉じてしまうことがあります。
眼の中から痛みが発生する原因のひとつが緑内障です。

緑内障とは何のことでしょうか?

犬の緑内障とは、眼の神経または眼の奥にある網膜の神経細胞やその刺激を伝達する神経の障害を引き起こす、様々な原因によって起こる病気の総称です。「白内障」と名前が似ているため「眼が緑色に見える」と勘違いしてしまいがちですが、必ずしもそうではありません(色素の薄い犬がこの病気になると、青緑っぽく見えることもあります)。
神経の障害が起きてしまう大きな原因は、眼の内側から外側に向かう力である眼圧が高すぎて、眼の神経を押しつぶしてしまうことです。
一度緑内障によって眼の神経が障害されそのまま視力を失い失明してしまうと、もう二度と視覚を回復することはできません。そのため早く気づいて治療を行う、早期発見早期治療がとても重要な病気です。

獣医師監修:愛犬の眼が開かない?犬の緑内障について知りたい!

なぜ緑内障になるのでしょう?

緑内障はその原因によって先天性、原発性そして続発性緑内障に分類されます。
【先天性緑内障】
柔らかいボールのような状態の眼の形を維持するためには、眼の中を循環している眼房水が必要です。決まった量が流れ込み流れ出していることにより、常に眼は一定の状態を保っていることができるのですが、その流れのどこかに異常があると眼はぱんぱんに膨れた状態になり痛みや視覚の異常を引き起こします。
この眼房水を流し出す排出路部分に生まれつき形の異常があることで起こる緑内障のことを先天性緑内障といいます。これは犬ではまれとされています。
【原発性緑内障】
眼圧が上がってしまう原因となるような他の眼の病気がない緑内障を言います。多くの犬では遺伝的におこるためあり、片目だけでなく両目とも発症することがあります。
排出路の形に異常はないものの代謝の異常により目詰まりを起こしてしまい眼圧が上がってしまうタイプや、排出路が一部非常に狭かったりすることで眼圧が上がりやすくなってしまうタイプがあります。
犬の緑内障ではこの原発性緑内障が一番多く見られます。
【続発性緑内障】
緑内障の原因になるような他の眼の病気があるものを言います。例えば白内障や水晶体の脱臼、ぶどう膜炎などの炎症、眼の中の腫瘍やカメラのフィルムにあたる網膜がはがれてしまう網膜剥離などが考えられます。

緑内障になるとどんなことが起こるのでしょう?

無症状のまま進行するヒトの緑内障とは異なり、犬の緑内障の多くは強い痛みを感じます。急激な眼圧の上昇に伴い、頭痛や震え、吐き気などがみられ食欲がなくなってしまったり、吐いてしまうこともあります。
眼圧が高い目は白目が充血し、目ヤニや涙が見られることもあります。重症の場合は視力を失い、失明してしまうこともあります。

緑内障はどうやって診断するのでしょう?

無症状のまま進行するヒトの緑内障とは異なり、犬の緑内障の多くは強い痛みを感じます。急激な眼圧の上昇に伴い、頭痛や震え、吐き気などがみられ食欲がなくなってしまったり、吐いてしまうこともあります。
眼圧が高い目は白目が充血し、目ヤニや涙が見られることもあります。重症の場合は視力を失い、失明してしまうこともあります。
詳細な眼の観察や眼圧の測定、また瞳孔を開くため散瞳剤を点眼して眼底の検査、網膜の異常を確認するための超音波検査などを組み合わせ、総合的に診断します。ヒトで一般的に行われる眼房水の排出路である隅角を観察する隅角鏡検査は、犬では困難なことがあります。

緑内障はどうしたら治るのでしょう?

緑内障の治療の一番の目的は視力を温存することです。そのため様々な方法を用いて眼圧を低下させる必要があります。
【内科治療】
点眼薬:さまざまな機序により眼房水の産生を抑えるものと、眼房水の排出を促進するものがありこれを組み合わせて使います。その他炎症を抑えるための抗炎症薬や、二次的な感染を防ぐための抗生物質、眼を保護するための保水点眼薬が使われることもあります。
内服薬、注射薬:水分を出す利尿剤や消炎剤を使うことで、犬の不快感や痛みを取り除くことを期待します。
【外科治療】
レーザー治療:眼房水の産生を抑えることが目的です
インプラント設置手術:眼房水の排出を促進することが目的です
内科も外科もそれぞれどちらかだけで眼圧をコントロールすることは難しいことがあり、その両方を行うことで長く治療が継続できる可能性があります。

獣医師監修:愛犬の眼が開かない?犬の緑内障について知りたい!

やっぱり動物病院に行くべき?

様々な点眼薬や飲み薬にもかかわらず緑内障が進行して眼圧が下がらなくなってしまった場合、そして視力を失ってしまった場合は、痛みのコントロールや眼球が大きくなることによる合併症を防ぐことが治療となります。
しかし緑内障の点眼薬が他の点眼薬に比べると高価であること、一生点眼を続けなければいけない動物への負担を考慮した場合、眼球の摘出やシリコンインプラント術、または薬物による眼の組織の破壊などが行われることもあります。
犬の多くが原発性緑内障であり両目に発症する可能性が高いため、片目に緑内障が確認されると片目が正常であっても定期的な検査や予防的に点眼薬などを用いる場合があります。

視力を失ってしまうだけでなく、痛みや治療の煩わしさといったストレスも気になる緑内障。
ぜひ毎日の目のチェックを習慣にし、いつもと違う?ときは病院へ連れて行ってあげてくださいね。

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