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犬の健康診断シーズン到来。どの検査が必要?犬に負担はある?

獣医師
山口あすか
[記事公開日]  [最終更新日]
秋から冬にかけて、動物病院では健康診断を実施していることがよくあります。
この時期に検査をすると、いつもよりも広く検査をしてもらえて、隠れた病気を発見できることも多くあるので、早期発見と早期治療を目指すためには、健康診断を利用することがお勧めです。

ただ、健康診断を考えていらっしゃる飼い主様には、以下の疑問も多いのではないでしょうか?

犬も健康診断を受けた方が良いの?
犬は何歳から健康診断を受けたら良いの?
健康診断にはどのような項目があるの?
犬は痛くないの?

この記事では、これらの疑問についてわかりやすく回答します。
[ 目次 ]
犬の健康診断シーズン到来。どの検査が必要?犬に負担はある?
まずは健康診断の重要性について、そして何歳から受け始めたらよいのかについて解説していきます。
これまで健康診断に興味のなかった飼い主さまも、興味はあったけど踏み出せなかった飼い主さまも、毎年受けているけれど疑問のあった飼い主さまも、健康診断の意義について考えてみましょう。

犬の健康診断の必要性

人気犬種のトイプードルとMダックスが長命の傾向にあるせいか、犬全体の寿命も長くなる傾向にあります。
そんな中で、人でも犬でも健康寿命が重要なことは一緒です。
健康診断をうけることによって、症状が出る前の病気のサインを掴むことが出来れば、発症の予防や、進行の遅延、あるいは治療による根治の可能性が大きくなります。

高齢の犬に潜在的に(見つかってはいないけれど)存在する病気として多いのは以下の病気です。

①心臓病(弁膜症)
②腎臓病
③関節炎

これらは初期には飼い主様が気づかない程度の変化しかなく、症状が出る時には中等~重症になっていることがほとんどです。
症状がないうちから健康診断を受けることによって、早期発見と早期治療が可能になります。

犬の健康診断シーズン到来。どの検査が必要?犬に負担はある?

犬の健康診断は何歳から受けるのか

犬も基本的には人と同じで、中高齢から病気が出始めます。
もちろん生まれつきの病気や、尿路感染症や皮膚病、胃腸炎などは若いうちから始まりますが、それらは隠れて進行するというよりは症状が明確に出るために、健康診断で発見するというものでは無いかもしれません。

大型犬は寿命が8-10歳になることが多く、関節炎も体重の影響で早く出始めることがあります。そのため5-6歳からは健康診断を受けることをお勧めします。

中型~小型犬の寿命は15歳前後であることが多く、高齢期に入る8歳あたりから関節炎や心臓病が出始めています。
10歳以降ではいつの間にか腎不全が進行しており、発症した時には急性腎不全で入院治療が必要になることもあります。
そのため、健康診断は8歳くらいから始めて、10歳以降は定期健診として半年に一度の検診を受けられることがお勧めです。

犬の健康診断シーズン到来。どの検査が必要?犬に負担はある?

犬の健康診断の一般的な項目について

健康診断と言われても、いったいどんな検査があるの?なんの検査を受けたら良いの?と疑問に思われる方も多いかもしれません。

だいたいの動物病院では、身体検査、血液検査、レントゲン検査、便検査、尿検査、エコー(超音波)検査などを提示しています。
ではそれぞれに、どんなことが分かる検査なのか説明していきます。

【身体検査】
獣医師の見る、聞く、触る、という五感で評価するものです。
この検査から見つかる病気のサインも多く、目の異常や歯周病の有無、外耳炎、皮膚炎、心臓や肺の音の異常、リンパ節の腫れ、体温の上昇、肥満や削痩など体型の評価も大切です。

【血液検査】
一般的な血液検査項目では、貧血が無いかどうか、炎症が出ていないかどうか、内臓(肝臓や腎臓)に負担が出ていないかどうか、などがわかります。
内臓への負担などは、症状が出るころには重症になっていることが多いので、早期発見のために血液検査は有益です。

【レントゲン検査】
レントゲンと言われると、被ばくが心配と思われるかもしれませんが、レントゲン照射はほんの一瞬であり、強いものではないので、単純なレントゲン撮影で健康に害が出ることはありません。

この検査でわかることは、関節炎の有無、骨の異常、肺や心臓の形態の変化、膀胱結石や腎臓結石の有無です。

【便検査】
病院内での簡易的な検査では、消化管内寄生虫やその卵の有無、らせん菌などが多くないのかの確認ができます。

外部の検査センターに出せば、病原性のある細菌やウイルス、寄生虫がいないのかどうかを遺伝子レベルで調べることができます。

【尿検査】
尿検査は実は多くのことがわかる検査です。
尿中にストルバイト結晶やシュウ酸カルシウム結晶が出ていないかの確認や、糖尿病になっていないか、膀胱炎になっていないか、微量出血が無いのかがわかります。

さらに、薄いオシッコをしていると、色々な病気の初期症状の可能性があります。
尿比重を確認することで、しっかりと濃縮されたオシッコが出ているかどうかも知ることができます。

【エコー(超音波)検査】
エコー検査は、人の妊娠期での胎児観察にも用いられているように、体内の動きをリアルタイムで確認できるために、心臓や内臓の血流を確認するのに強みがあります。
また、各内臓の形態の変化や、腫瘤の有無なども見つけることができます。

ただ、検査をする人(だいたいは獣医師)によって、習熟度に違いがあるために、他の検査と違って、誰がやっても同じ結果という訳ではないところがネックです。

犬の健康診断シーズン到来。どの検査が必要?犬に負担はある?

犬に負担の少ない検査とは

どんな検査でも、犬には少なからず負担がかかります。
人では何でもないような身体検査ですが、ストレスを感じやすい犬にとっては診察台に上がるだけでも大きな負担です。

人に触られるのが大好きな犬であれば良いのですが、体中を触られたり見られたりで、緊張で体温が上がってしまうことも多いのが辛いところです。
沢山の項目の健康診断を受けたら、翌日には体調を崩してしまいました。。。という事態もあります。

まずは、犬にとって検査がどの程度の負担をかけるのかを知って、選択するようにしましょう。
最も負担をかけない検査は、便検査と尿検査です。
便と尿を動物病院に提出するだけなので、犬へのストレスはゼロと言えます。

次に負担がかからないのは、身体検査です。
これは精神的には怯えさせてしまうこともあるかもしれませんが、診察台の上で特別なご褒美をあげる習慣をつけてもらうことで、最小限にしましょう。
見る、触る、聞く、のみなので痛みを与えることはありません。

ちょっとだけ我慢の時間が必要な検査は血液検査とレントゲン検査です。

血液検査では、針を刺すので痛いのでは?と考える方も多いのですが、針は人の採血で使用するような太いものではなく、かなり細いものを使用するので、痛みもあまりありません。
上手な採血であれば、動かないでいてもらう時間は5-10秒ほどです。

レントゲン検査では、撮影時に一瞬だけ動かないでもらうだけなので、より痛みや我慢は少ないでしょう。
関節が痛い犬にとっては、一瞬でも抑えられるのが痛い可能性もあるので、無理せずゆっくりと撮影します。

エコー(超音波)検査は、人では痛みや傷を必要としない優秀な検査ですが、動物にとってはその検査時間の長さが負担になることがあります。
他の検査に比べると、検査時間が長いことが多く(5-20分)、その間はじっとしてもらうことが必要なためです。

それでも、エコー検査でなければ分からないことも多いため、病気の発見、診断、経過観察にとても大切な検査です。

犬の健康診断シーズン到来。どの検査が必要?犬に負担はある?

まとめ

まだ若いうちであれば、年に一度のフィラリア検査の採血時に、その他の検査項目も一緒に調べてもらえるのが、ワンちゃんへの負担も少なくお勧めです。

中年齢では、血液検査とともに、身体検査、尿検査や便検査も追加することによって、そのころに多くなる歯周病についてもチェックしてもらうことが大切です。

高齢になるころには、レントゲン検査も追加して関節炎が発症していないのかも確認します。
心臓や腎臓などに問題があると発見できた時には、追加検査でエコー検査を加えて、より詳しい状態を把握すると良いでしょう。

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