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犬の尿崩症(にょうほうしょう)

獣医師
黒田 美津穂
[記事公開日] 2022-05-16 [最終更新日] 2022-05-16
毎日、お水をおかわりするほど、よく飲むなあ。おしっこの量も異常に多い。
うちの子、病気なのかしら? 
脳の下垂体後葉から分泌されるバソプレシン(抗利尿ホルモン)が原因となる尿崩症かもしれません。少しずつ説明していきましょう。
[ 目次 ]
犬の尿崩症(にょうほうしょう)
バソプレシン(抗利尿ホルモン)は脳の下垂体後葉で合成、分泌され、腎臓の尿細管のバソプレシン受容器に作用します。尿崩症は濃いおしっこが作れない病気です。原因となる場所が脳の下垂体と腎臓に大きく分けられます。

尿崩症の原因

中枢性尿崩症と腎性尿崩症に分けられます。
中枢性尿崩症は先天性や後天性の原因で、下垂体からバソプレシン(抗利尿ホルモン)が分泌されなくなるために起こります。先天性は生まれつきバソプレシン(抗利尿ホルモン)が出ない、または出にくい状態にあります。後天性は脳の視床下部、下垂体に腫瘍が見られたり、炎症が起きたり、外傷で脳が傷ついて起こります。
腎性尿崩症はバソプレシン(抗利尿ホルモン)が下垂体から正常に分泌されているにもかかわらず、腎臓の機能障害により水分の再吸収ができないために起こります。バソプレシン(抗利尿ホルモン)が腎臓の尿細管の受容器に反応しなくなります。薄いおしっこ が大量に出るという症状は中枢性尿崩症と同じです。腎不全、肝不全、高カルシウム血症などで認められます。腎性尿崩症は後天性の病気のみで、先天性の生まれつきの病気は報告がありません。

症状は?

尿崩症は尿量が異常に多くなり、多量に水を飲むようになる多飲多尿が認められます。水はお皿が空っぽになっても、おかわりを求めて水を飲み続けます。おしっこもすごく増えます。犬の多飲は1日あたりの飲水量が体重1㎏あたり100ml以上、多尿は1日あたり体重1㎏あたり50ml以上と定義されます。この状態が慢性化すると、元気がなくなり、体重が減る子もいます。

発症しやすい犬種

好発犬種や性別、年齢はありません。すべての犬種に発症する可能性があります。
先天性の中枢性尿崩症の場合は、生後すぐから1歳までに発症します。

診断、検査について

尿検査、血液検査、レントゲン検査、超音波検査を行い、多飲多尿の症状を起こす他の病気を全て除外します。最終的に尿崩症かどうかを判別する水制限試験にて鑑別診断を行います。次に水制限試験をするところですが、犬への負担が大きい試験のため、現実的には診断的治療でホルモン補充療法に入ることが多いです。
【水制限試験】
犬に水を飲ませないで体重が5%減るまで脱水させて、バソプレシンの反応を見る試験です。5%体重が減った段階でバソプレシンの合成物(デスモプレシン)を投与し、尿が濃くなるかを調べます。中枢性尿崩症である場合はデスモプレシンの投与に反応して、すぐに尿が濃くなり尿量が減少します。デスモプレシンに反応がなく、尿が薄いままであった場合は腎性尿崩症と診断されます。尿崩症であれば、数時間もかからず5%まで脱水します。

治療

中枢性尿崩症の場合、抗利尿ホルモン製剤、デスモプレシンを目薬として投与します。この薬を投与している限り、多飲多尿の症状は完全に抑えられます。必要な投薬量は患者の状況によっても変わってくるので調整が必要です。デスモプレシンは非常に高価な薬です。
腎性尿崩症は、現在有効な治療法はありません。後天性の腎性尿崩症は数か月後に自然と治ることもありますが、治らず持続する場合もあります。

トイレ、水飲み場、寝る場所を近くしよう

トイレに行く回数、水を飲む回数が多いので、寝る場所の近くにしてあげましょう。尿崩症になると犬はとにかく水を大量に飲みます。飼い主が家を留守の時に水が空っぽにならないように、大きなお皿とペットボトルで自動で給水してくれるものがおすすめです。

犬の尿崩症を予防する方法はない。

尿崩症を予防する方法はありません。しかし日頃から、犬の水を飲む量やおしっこの回数と量に気を付けておくことは、病気の早期発見に大切なことです。
様子がおかしいと思ったら獣医師に相談しましょう。

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