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猫の糖尿病性ケトアシドーシスについて

獣医師
久保井春希
[記事公開日] 2021-11-01 [最終更新日] 2021-11-01
緊急疾患である猫の糖尿病性ケトアシドーシスの診断と治療を簡潔にまとめています。
少しでケトアシドーシスについての知識を増やしてください。
[ 目次 ]
猫の糖尿病性ケトアシドーシスについて
猫の糖尿病性ケトアシドーシスとは糖尿病における急性代謝失調であり、内科的エマージェンシーの最たるものです。

発生メカニズム

単純な糖尿病を放置しても糖尿病性ケトアシドーシスに陥ることはないです。
ケトアシドーシスの発生にはなんらかの併発症が関与しています。
糖尿病性の高血糖では浸透圧利尿によって水分と電解質が尿中に失われます。また、細胞内の代謝が低下し細胞は枯渇状態になります。代償性に脂肪組織の中性脂肪が動員されてエネルギー源となりますが、それに伴いケトン体という物質が産生されます。
糖尿病性ケトアシドーシスの時はこれが血中に溶け込み代謝性アシドーシスを引き起こします。
過剰なケトン体は消化器症状や神経症状の原因にもなります。
脱水、代謝性アシドーシス、そして血糖上昇ホルモンや炎症サイトカインを誘導して更なる病態の悪化を引き起こします。

猫の糖尿病性ケトアシドーシスについて

診断

持続的な高血糖
尿中ケトン体陽性
代謝性アシドーシス
※血液ガスがみれる場合PH7.2未満、AG30以上
血液ガスがない場合は低ナトリウム、低カリウム、低クロールと全身症状があればケトアシドーシスとみなす。

猫の糖尿病性ケトアシドーシスについて

治療

優先すべき治療は脱水の改善と電解質の補正です。
半日ほどかけてそれらを補正した上で、インスリンを打ち始めます。
輸液剤は生理食塩水が一般的であり、それに加えてカリウムを補正していく。
リンも低下していくことがある為、リンの補正もしていく必要がある。
インスリンに関しては色々な方法が最近提案されているが、ポピュラーな方法としてはレギュラーインスリンの投与である。
1時間に血糖値が50mg/dl下がるよう調整していく。2〜4時間毎に採血し電解質、血糖値を見ていく250mg/dlに近づいてきた場合はここであえて糖を入れて下がりすぎるのを防止する。
今回の治療はケトン体が消失するまで続けるためこの血糖値を維持してケトン体の消失を目指します。
同時に併発疾患の治療もしていきますが、猫の場合は3臓器炎などが起こることが多くここではステロイドを少し使っていくことで奏功することが多いです。

ケトン体が消失した後は、持続型のインスリンに切り替えて1日の血糖値のコントロールに努めていきます。

猫の糖尿病性ケトアシドーシスについて

まとめ

糖尿病性ケトアシドーシスは緊急疾患であり、手遅れになることも多々ある疾患です。
血糖値だけにとらわれず、全身管理をじっくりしていくことが改善への近道かも知れません。

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