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最近老けてきた?愛犬の甲状腺ホルモンが異常かもしれません

獣医師
藤井ちひろ
[記事公開日] 2021-04-02 [最終更新日] 2021-04-02
ずっと一緒に暮らしてきた愛犬、一応食べてはいるけれど最近なんとなく元気がなくなって寝てばかりいる、そのせいか太ってきたし毛もうすいような…年のせい?

確かに年をとるとよく見られる変化です。
ももしかしたらそれは年のせいではなく、体の調整をつかさどるホルモンの量が減ってきているからかもしれません。

すごく具合が悪いわけではないけれど、なんとなく元気がない。
それに気づかれたのであれば、この内容をチェックすることで、愛犬の健康異常に早く気づくことができるかもしれません。
[ 目次 ]
最近老けてきた?愛犬の甲状腺ホルモンが異常かもしれません
ヒトと同じように、犬もさまざまなホルモンを分泌し、その影響を体全体で受けています。
ホルモンの分泌が過剰になったり、逆に減少したりすると全身にその影響があらわれ、さまざまな部分に今まで違った状態が起こってきます。

その変化が広くゆっくりな場合、なかなかその異常に気づくことができず治療が遅れてしまうことがあるため、代表的なホルモン分泌異常による病気を知っておくことで愛犬の健康を守ることができます。

今回の甲状腺異常は、犬に起こる内分泌疾患としてはとてもポピュラーな、ぜひ知っていただきたい病気です。

甲状腺機能低下症ってどんな病気?

甲状腺は、ヒトでは、のどぼとけにあたる甲状軟骨というのどの下にある、甲状腺ホルモンを分泌する内分泌器官です。ここから分泌される甲状腺ホルモンは、体の代謝を活発にする、元気になるホルモンです。

甲状腺機能低下症は、この甲状腺ホルモンの分泌がさまざまな原因によって大きく減少する影響で、体全体に以下のようなさまざまな異常があらわれてきます。

・活動性(元気)低下
・悲劇的顔貌(顔つきがぼんやりとし悲しげな垂れた目つきになる)
・脱毛
・肥満(むくみ)
・繰り返す皮膚炎や外耳炎

重度になってくると、夏でも寒がったり、極端に脈が遅くなったり、ふらつきや顔面の麻痺などがあらわれることがあります。

7歳以上の高齢のワンちゃんでしばしば見られ、日本国内では副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)についで2番目によく見られる犬の内分泌疾患という報告もあります。

甲状腺機能低下症って何が原因なの?

主な原因は、甲状腺ホルモンを分泌する腺組織が破壊されることによる原発性甲状腺機能低下症です。
これはさらに2つにわけられます。

【リンパ球性甲状腺炎】
機能の異常が起こり、自分自身の免疫システムが自らの甲状腺を破壊してしまう免疫介在性疾患。

【特発性甲状腺委縮】
リンパ球性甲状腺炎の末期とも言われ、原因は不明だが甲状腺機能が低下してしまう状態。

その他に考えられている原因としては
・先天性甲状腺機能低下
・腫瘍性甲状腺破壊
・その他の内分泌異常に続いて起こる続発性甲状腺機能低下症
などがあげられます。

どの原因であったとしても、甲状腺ホルモン欠乏が見られるため、あらわれる症状はほぼ同じです。

ただし、続発性甲状腺機能低下症では脳の腫瘍や外傷がそもそもの原因となるため、震えや麻痺、意識混濁などの神経症状が強く見られることがあります。

最近老けてきた?愛犬の甲状腺ホルモンが異常かもしれません

甲状腺機能低下症ってどんな検査をするの?

まずは問診により、あらわれている病状をくわしく確認します。

・いつから
・どの症状がどのくらい続いているのか
・改善はしないのか

そのあとで、皮膚や耳の中などをよく観察し、必要であれば脈や血圧の測定、神経学的検査も行います。
それにより、甲状腺機能低下症が疑わしいと診断にいたった場合はさらなる検査が追加されます。

・一般血液検査
・ホルモン測定検査
・エコー検査

これらの結果を総合し、甲状腺の機能が著しく低下し甲状腺ホルモンが欠乏しているかどうかを確認するのが検査の目的です。

注意しなければいけないこととして、ホルモンというのはさまざまに影響し合っているものであるということがあります。
そのため、甲状腺ホルモンの値が低かったとしても、他のホルモンや病気の影響を受けて低くなってしまっている可能性があります(ユウサイロイドシック症候群)。

また、ステロイド薬を皮膚や免疫の治療などで長期に服用している場合、それらが影響することもあります。

そのため、数値で低ければ甲状腺機能低下症と即診断できるわけではなく、他の検査結果と総合して診断することが大切になります。

甲状腺機能低下症ってどんな治療をするの?

甲状腺機能低下症と診断すれば、基本は甲状腺ホルモン薬を投与することで、不足してしまっているホルモンを補充します。

一時的ではなく基本的には、一生涯投与し続けることが必要です。投薬の量は個体によって異なり、同じこでも治療の経過とともに変化することがあります。
このため、お薬を投与していても血液検査(血液中の甲状腺ホルモンの濃度)を定期的に行なうことで、お薬の投与量を適正に保ち続けることができます。

投与量が少なすぎると治療の効果が十分得られません。
逆に投与量が多すぎる場合には甲状腺機能亢進症を引き起こすこともあります。
また血液検査のタイミングはいつでもいいわけではなく、普通は投薬後4-6時間後に採血し、お薬が吸収されてホルモン濃度が十分に上がっているあたりで行います。

ほかの病気が原因で甲状腺ホルモン濃度が低下していると考えられる場合は、まずは原因となっている病気を治療します。
ときにはそれだけで甲状腺ホルモン濃度が回復することがあります。
この場合は、甲状腺機能低下症に特徴的な症状が出ていなければ、ホルモンの補充治療を行わずに経過観察を行うこともあります。

最近老けてきた?愛犬の甲状腺ホルモンが異常かもしれません

まとめ

甲状腺機能低下症は原因によりその予後(治療したあとの経過)は異なります。
しかしどれであれ、早期に発見し治療を開始したほうがいい結果をうむことが報告されています。

愛犬がシニアになったら、治りづらい病気や元気のなさは「年のせい」で片づけず、一度動物病院を受診してみてくださいね。

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