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猫の炎症性腸疾患の理解を深める!症状、診断、治療法を解説!

獣医師
相澤啓介
[記事公開日] 2021-01-29 [最終更新日] 2021-01-29
猫の炎症性腸疾患は、慢性の嘔吐や下痢を示す疾患です。
慢性消化器症状を呈する疾患には、他にも慢性膵炎や胆管肝炎などがありますが、それらと比較しても炎症性腸疾患の診断は難しいとされています。
本記事では愛猫に異常を感じた際に、炎症性腸疾患の可能性が選択肢に入るよう解説していきます。
[ 目次 ]
猫の炎症性腸疾患の理解を深める!症状、診断、治療法を解説!
炎症性腸疾患は、猫における慢性消化器症状を呈する疾患において一般的です。
確定診断には全身麻酔を用いた検査が必須であり、他の病気の陰に隠れて見過ごされることも多い疾患でもあります。
その性質のせいか、飼い主の間で猫の炎症性腸疾患の認知度は高いとは言えません。
そこで本記事では、猫の炎症性腸疾患の症状、診断、治療から予後まで紹介します。

炎症性腸疾患とは

炎症性腸疾患は、原因が特定されない慢性腸炎の総称です。

ヒトにおける炎症性腸疾患と、猫における炎症性腸疾患の定義は少し異なっており、猫の場合は「胃、小腸および大腸の粘膜や粘膜下織への炎症性細胞のびまん性浸潤を特徴とする慢性胃腸症候群」と定義されています。

また猫の炎症性腸疾患は、浸潤している細胞と、炎症を起こしている消化管の部位によって以下のように分類されます。

・リンパ球プラズマ細胞性腸炎
・リンパ球プラズマ細胞性結腸炎
・好酸球性胃腸炎
・好酸球性結腸炎
・肉芽腫性腸炎

炎症性腸疾患にかかりやすい猫種

猫における炎症性腸疾患に好発猫種はないと言われています。

しかし純血種では、リンパ球プラズマ細胞性腸炎の発生が多いという報告もあります。

また猫における好酸球性腸炎の発生は稀ですが、好酸球増加症候群の一環として腸炎が認められる場合もあります。

猫の炎症性腸疾患の原因

猫の炎症性腸疾患の原因は不明です。

しかし、食材に対するアレルギー反応、微生物の感染、腸内細菌のアンバランス、胃腸炎、腫瘍などの様々な要因が関与していると考えられています。
愛猫が持っているアレルギーの把握や、他疾患に対する健康診断によって注意すべき体質かどうかがわかるかもしれません。

猫の炎症性腸疾患の症状

猫の炎症性腸疾患の主な症状は、慢性的な嘔吐と下痢です。

それに伴って、元気と食欲の低下、体重減少が見られる場合もあります。
また慢性膵炎や胆管肝炎を併発することもあります。

猫の炎症性腸疾患の理解を深める!症状、診断、治療法を解説!

猫の炎症性腸疾患の診断

猫の炎症性腸疾患の診断は、下痢や嘔吐を呈する他の疾患を除外することで行います。
そのためには複数の検査を行い、疾患を多角的に捉えることが必要となります。

・血液検査
血液検査で炎症性腸疾患に特異的な所見は現れません。
炎症に伴う白血球の増加や、蛋白漏出がある場合には低蛋白血症が確認されます。
好酸球性腸炎の場合には好酸球の増加も見られます。
また胆管肝炎を併発している場合には肝酵素の上昇が認められます。

・腹部超音波検査
十二指腸や結腸壁の不整や肥厚が確認できます。
また腸管リンパ節の腫大が確認できることもあります。
さらに消化器型リンパ腫などの腫瘍疾患との鑑別のためにも、超音波検査は重要となります。

・内視鏡検査
十二指腸あるいは結腸壁の不整や脆弱化、充血、出血、びらんが見られることが多いです。
しかし肉眼的に顕著な病変が認められないこともあるため、生検は必ず同時に行います。

・病理組織学的検査
内視鏡検査の際に採取した腸の組織を顕微鏡で観察することで、炎症細胞の組織への浸潤を確認します。
しかしリンパ腫でも、組織へのリンパ球の浸潤が見られる場合があるため、鑑別が困難となっています。
その場合には、特殊な染色(免疫組織化学染色)やリンパ球クローナリティ解析などと組み合わせることで、可能な限り鑑別を試みます。

猫の炎症性腸疾患の治療および予防

炎症性腸疾患の治療には、グルココルチコイド(ステロイド)や免疫抑制剤、対症療法としての制吐薬や止瀉薬などを用います。
また完治することは難しく、あくまで服薬によって症状をコントロールし、再発させないようにすることが治療の目的となります。

・グルココルチコイド(ステロイド)
ステロイドは現在、猫の炎症性腸疾患の治療における第一選択薬となっています。
抗炎症作用、抗プロスタグランジン作用、免疫抑制作用により、腸に発生している炎症を抑えるはたらきがあります。

・免疫抑制剤
ステロイドの作用が不十分である場合には、他の免疫抑制剤を単独または併用して用います。
しかしその効果については十分に検討されてはいないのが現状です。

・抗菌薬
猫の炎症性腸疾患には、腸内細菌のアンバランスが関与している場合があります。
抗菌薬の投与によって、異常増殖した腸内細菌のバランスを整えることを目的としています。

・制吐薬/止瀉薬
対症療法として、嘔吐や下痢を抑えます。
これら消化器症状による水分や電解質の喪失は、腎臓などの他の臓器に負担をかけることになります。

・輸液療法
嘔吐や下痢によって失われた水分を補給します。
循環を改善することで、生命活動を支持します。

・食事療法
食物アレルギーが炎症性腸疾患の発生に関与している可能性があります。
変更する食事は、低アレルギー性で消化の良いものがよいとされています。
軽度の炎症性腸疾患では、食事管理と抗菌薬の投与で改善することもあります。

猫の炎症性腸疾患に対する予防法は確立されていません。
消化器症状が見られるなど、異常を感じたらすぐに動物病院を受診するようにしましょう。

猫の炎症性腸疾患の予後

治療に反応する炎症性腸疾患の予後は、一般的に良好です。

一方、好酸球増加症候群による好酸球性腸炎の予後は悪いと言われています。

早期発見と早期治療がカギとなります。

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