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犬の生活習慣病

獣医師
若林薫
[記事公開日] 2021-03-03 [最終更新日] 2021-03-03
 犬の生活環境の変化に伴い、生活習慣病が増加していると言われています。生活習慣病は食生活の管理によって予防できる場合があります。愛犬の健康のために生活習慣病とその予防について勉強していきましょう。
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犬の生活習慣病
 犬を取り巻く環境は時代とともに変化し、かつての狩猟の相棒がペットになり、そして人生の伴侶として大切にされるようになりました。犬の寿命は飛躍的に伸び、栄養状態も良くなりました。これらの変化は私達愛犬家にとっても犬達にとっても喜ばしいことですが、一方、長寿化や充実した食生活が引き起こす病気が問題にされるようになりました。犬の生活習慣病です。生活習慣病の中には一度罹患すると長く闘病をしなければならないやっかいな病気があります。そして、生活習慣病を引き起こす原因の一つには食事管理の失敗があります。愛犬と健康的に暮らしていくために、生活習慣病について勉強していきましょう。

犬を取り巻く環境の変化と肥満

 昭和では犬の寿命は5年に満たないものでしたが、飼育環境の変化により、現代では15年前後まで長寿になりました。長寿化の要因は様々ありますが、質の高いペットフードなどによる栄養状態の改善は大きな要因の一つだと考えることができます。この食生活の変化に伴い、肥満の犬が増加していると言われています。動物病院に来院する犬のうち1~3割が肥満であると報告されており、別の報告では犬種によってはそのほとんどが肥満であるとされています。

肥満と生活習慣病

 肥満の犬は健康な犬に比べて寿命が短い傾向にあり、最大で2.5年程度余命が短くなると報告されています。犬の生活習慣病はこの原因の一つとして考えることができます。生活習慣病は肥満そのものである肥満症や、肥満が関連した病気、また食生活が関与する病気などで構成されています。人における生活習慣病では2型糖尿病などの代謝性疾患が有名ですが、犬の糖尿病は肥満が主な原因ではない1型糖尿病が多く、かならずしも人の生活習慣病と犬の生活習慣病は一致するものではありません。

犬の生活習慣病

肥満が関連した病気
 関節症は肥満により増加した体重が関節に負荷をかけることで発症します。また、小型犬のように関節に先天的な弱さ(リスク)がある場合、肥満により悪化し、病気として発症するものもあります。関節症は内分泌疾患のように命の危険を伴うものではありませんが、犬のQOLを著しく低下させるものです。また、関節症は一度発症してしまうと完治することがありません。長期の投薬と闘病が必要になり、犬自身の負担だけではなく、飼い主さんの負担にもなります。

 高脂血症と、これに続発する膵炎もこれらの病気の一例です。肥満症と高脂血症は高度に関連していますが、膵炎については高脂血症によって必ず引き起こされるわけではありません。ですが、膵炎は強烈な痛みを伴う疾患であり、非常に大切な内外分泌器官である膵臓に壊滅的なダメージを与える場合があります。このように肥満症になると必ず大きな病気を引き起こすわけではありませんが、数多くの危険な病気に罹患する可能性が少しずつ大きくなります。

食生活が関与する病気
 犬が単なるペットではなく、家族の一員とされる今、飼い主さんの愛情が逆目に出てしまうことがあります。おやつのあたえ過ぎや、ミネラルウォーターの給水が原因となる尿石症や、栄養価の偏った手作りのペットフードが原因になったビタミン欠乏症などは犬を取り巻く新しい環境に付随した生活習慣病と言えるでしょう。犬は私達人間のよき伴侶ですが、身体の作りは犬なのです。愛犬にできる限りのことをしてあげたいという飼い主さんの気持ちはとても尊いものです。その気持ちに動物種に対するほんの少しの配慮を添えてあげて下さい。

犬の生活習慣病

生活習慣病の予防

 犬の生活習慣病の大部分は食事管理の失敗による肥満症が引き金になります。具体的にはペットフード・おやつの与えすぎが原因です。先述した通り、肥満症をはじめとした犬の生活習慣病は罹患すると面倒です。しかし、逆に食事管理さえしっかりしていれば、予防できる可能性が高い病気と言えます。

犬の肥満とは?
 犬の肥満はBCS(ボディコンディションスコア)という犬の外貌から判断するテストによって測ることができます。BCSは体脂肪と相関があると述べる研究もあり、信頼できるテストと言えます。BCSは痩せ~肥満の5段階で犬の肥満度を示すものですが、一般的に肥満と言われる状態はBCS4(肥満傾向)、BCS5(肥満)の2段階にあるものです。BCSの測定は家庭で簡単に行うことができます。ここではBCS4~5の簡単な判定方法を記載します。

①肋骨周りの脂肪をみる。
 犬の胴体を触ってみて肋骨がある程度明瞭にわかるようならBCSは3.0以下と言えますが、肋骨が完全に触れない状態はBCS4~5に当てはまり、肥満です。

②お腹のくびれをみる。
 犬を真横からみてみましょう。正常な体形の犬では肋骨から後肢にかけてお腹が山なりにへこんでいます。このへこみが分かりにくい、分からない場合はBCS4~5に当てはまります。また、犬を真上からみたときにウエストのへこみが分かりにくい、分からない場合も同様にBCS4~5に当てはまります。

生活習慣病を予防するためのダイエット
 愛犬が肥満だと分かった場合、食事管理を行うことで体重を減らすことができます。食事管理によるダイエットは、犬の体脂肪などによる肥満状態を改善するだけではなく、余命を伸ばす効果もあると報告されています。

 ダイエットに最も重要なことは定期的な体重測定です。測定した体重はノートなどに記録していつでも見返すことができるようにしましょう。次に重要なことは1日に挙げているペットフード、おやつの総量を知ることです。この総量を調節することで体重を減らしていきます。ダイエットは食事回数を増やし、一回の食事量を減らすことからはじめてみましょう。大体週に一回は体重を測定し、増減を記録しましょう。体重が減らないようなら1日の食事の総量を少し減らして、もう1週間生活させて下さい。ダイエットはあまり焦る必要はありません。少しずつ、確実に体重が減っていくように調節して行うのがベストです。

さいごに

 犬を取り巻く環境の変化によって、生活習慣病が増加してきました。これらは厄介な病気ですが、食事管理で予防できる場合も多い病気です。食事管理は犬と飼い主さんの両方に我慢をしてもらわないと成立しません。未来の健康のために、一歩一歩踏み出していきましょう。

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