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犬の先天性心奇形、動脈管開存症って何?子犬のうちに健康診断を!

獣医師
相澤啓介
[記事公開日] 2020-12-14 [最終更新日] 2020-12-14
犬の動脈管開存症は心奇形の一種で、大動脈と肺動脈を繋ぐ動脈管が生後も塞がらない疾患です。
軽度のものでは症状はありませんが、放置すると心不全を招き、致命的になります。
治療法は外科手術のみであり、早期の診断と治療が望まれます。
本記事では、犬の動脈管開存症について解説し、子犬のうちに健康診断を受けることを推奨していきます。
[ 目次 ]
犬の先天性心奇形、動脈管開存症って何?子犬のうちに健康診断を!
動脈管開存症は、犬で最も一般的に見られる先天性心奇形です。
心臓の奇形であるため、放置すると命に関わる疾患です。

子犬のうちに健康診断を受けることが推奨されますが、そもそも犬の動脈管開存症とはどんな病気なのでしょうか。
病気に対する基本知識を備えておくことで、いざという時に慌てなくて済むかもしれません。

本記事では犬の動脈管開存症における症状、診断、治療から予後まで解説していきます。
最後まで読んで頂き、検診を受けるきっかけにして頂ければ幸いです。

犬の胎子における循環動態と動脈管開存症

妊娠胎子では肺での呼吸が行われないため、肺に向かう血液の量は少なく済んでいます。
このとき多くの血液は、動脈管と呼ばれる大動脈と肺動脈を繋ぐ血管の道を通って、肺を通過せずに全身へと循環しています。

生後は肺への血液量が増加し、通常この動脈管は2~3日をかけてゆっくりと塞がっていきます。

しかし動脈管が塞がることなく、生後も機能し続ける状態を動脈管開存症と言います。

動脈管が残存することによって、血圧の高い大動脈から、血圧の低い肺動脈へと血液の流入が起こります。
これによって肺や左心系への血液流入が増加し、左心系に負担がかかります。

動脈管開存症が重症化すると血液の流入が逆転し、通常では肺に向かう血液(酸素が少ない)が大動脈によって全身に運ばれるようになり、様々な症状が現れます。

動脈管開存症がよく見られる犬種

外国と日本では人気犬種などが異なるため、一概には言えませんが好発犬種には以下のようなものが挙げられます。

・コリー
・シェットランドシープ
・ミニチュアプードル
・ポメラニアン
・チワワ
・ミニチュアダックスフント
・ヨークシャーテリア

また、オスよりもメスの方が発生率が高い傾向にあります。

子犬の健康診断では、動脈管開存症の有無をしっかりチェックしておきましょう。

犬の動脈管開存症の症状

臨床症状は、左心系のうっ血性心不全の発症が見られるまで通常発現しません。

動脈管開存症では、肺に向かう血液量が増加し、心臓の左心側に負担が多くかかります。
左心負荷が高まると僧帽弁逆流が生じ、運動不耐性(疲れやすい)、咳などが認められます。
さらに進行すると肺水腫となり、致命的となることもあります。

また持続的な肺への血流増加は肺動脈の肥厚を引き起こし、肺高血圧が生じます。
これによって血圧が逆転し、肺動脈から大動脈へ血液が流れ込み、全身に酸素の少ない血液が循環します。
すると心臓から遠い組織、包皮粘膜や膣粘膜でチアノーゼ(粘膜が青くなる)が認められるようになります。

犬の先天性心奇形、動脈管開存症って何?子犬のうちに健康診断を!

犬の動脈管開存症の診断

動脈管開存症の診断は、聴診や画像検査によって行います。

・聴診
特徴的な心雑音が聴取されるため、子犬における聴診は重要です。
フィラリア薬の処方時や、ワクチン接種時にしっかり聴診をしてもらいましょう。

・単純胸部X線検査
血流量の不均衡による左心系の拡大所見および肺動脈の拡張所見が見られます。
動脈管が直接描出されるわけではないので、あくまで心臓への負担の評価となります。

・血管造影
静脈に造影剤を注射し、造影剤の流れを観察することによって動脈管の存在を確認します。
確定診断が可能ですが、造影剤による副反応や、複数回のX線撮影による放射線曝露などが懸念されます。

・胸部超音波検査
動脈管における特徴的な血流を、カラードップラーにより検出します。
また血流の速度を計測することで、同時に心臓への負担も評価することができます。
血管造影と比較して注射の必要がないため、子犬にとって負担が少なくて済みます。

・心電図検査
左心系の負担によって、通常よりも心電波形が乱れる場合があります。
動脈管開存症の特異的な診断ではないため、補助的に用いられることがあります。

犬の動脈管開存症の治療

動脈管開存症と診断されたら、早期の外科手術が推奨されます。
しかし、生後6カ月未満で体重の少ない子犬では麻酔のリスクが高くなるため、臨床症状が見られなければ適当な体重と年齢になるまで待つこともあります。

外科手術では、動脈管を徐々に締めていくコイルを埋め込むものが主流になりつつあります。
術式も、胸を開く開胸手術から、侵襲の少ないカテーテルを用いたものまで様々です。

しかし動物病院によっては手術に対応していないこともあるので、事前に獣医師としっかり相談しておきましょう。

また、肺高血圧によって肺動脈から大動脈への血液の流入がある場合では、手術のリスクが非常に高くなります。
あらかじめ利尿薬や血管拡張薬を用いて、肺高血圧や肺水腫を改善してから手術を行います。

さらに動脈管開存症は内科的な治療では改善しません。
外科手術に備えた準備が必要となります。

犬の動脈管開存症の予後

一般的に外科手術によって予後は良好と言われています。

しかし、肺高血圧によって肺動脈から大動脈へと血液の短絡が起こっていると予後は悪くなる傾向にあります。
また無治療の場合は1年以内に64%が死亡するというデータもあります。
早期に適切な治療を受けさせる必要があると言えるでしょう。

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