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猫の流涙症について知りましょう。大きな病気のサインかも?

獣医師
藤井ちひろ
[記事公開日]  [最終更新日]
猫ちゃんといえば、ぱっちりとこちらを見つめてくれる瞳、キャッツアイ・猫目石という宝石もあるくらいその美しさは特徴的です。
しかし、気がつくといつも涙をうかべている、それどころか目の周りがぐずぐずしていたち、しっかり開かなくなっていることも。ゴミがはいったのかな?なんて簡単に考えていたら、手術が必要な大ごとになってしまことも実はあるのです。
ぜひ眼と涙のことを知って、愛猫の大切な眼を守ってあげましょう。
[ 目次 ]
猫の流涙症について知りましょう。大きな病気のサインかも?
眼のトラブルと言えば、犬でかなりいろいろなものが知られていますが、じつは猫ちゃんにも多いのです。
飼い主さんがみて最初に気づく眼の異常、それは「涙が多い」ではないでしょうか。

涙は眼を保護するためにとても重要なものですが、多すぎてしまえばやはりそれはトラブルになってしまいます。たまに、ではなくいつも、しかも眼の周りの色が茶色くなったり臭ってきたりするくらいであれば、それは病気なのかもしれません。

猫の流涙症とは?

猫ちゃんの涙はただの水ではありません。簡単に言えば水と脂の両方をあわせ持ったもので、瞼のふちや第三眼瞼といわれる瞬膜にある分泌腺から出てきます。
涙は眼の表面を覆ったあと、余分なぶんは鼻涙管という眼と鼻をつなぐ管を通り、鼻の中へ排泄されることで調節されます。

流涙症はさまざまな原因で、この一連の流れが滞り、目の周りが涙で常に濡れてしまうことでおきる、皮膚や目のトラブルのことをいいます。

猫の流涙症について知りましょう。大きな病気のサインかも?

猫の流涙症の原因は?

大きく以下の4つに分けることができます。

【解剖学的異常】
:ここ最近人気のスコティッシュフォールドやヒマラヤン、ペルシャなどの短頭種の猫は、ぺちゃっとつぶれたお顔がその魅力の一つですが、残念なことにそのつぶれ具合によっては涙の通り道が非常に複雑になってしまいます。
涙の入り口と出口はちゃんとあるのですが、短頭種は上の犬歯(いわゆる牙)は斜め上方向にずれて生えていることが多いため、そのそばを通っている鼻涙管がその影響を受けじくざぐに蛇行してしまい、その結果涙が通りづらくつまりやすいという特徴を持っています。

【機能的異常】
:下まぶたが外側に反り返ってしまう、極端にいえば「あっかんべー」の状態になっている眼瞼外反症、または突発的または外傷などによる顔面神経麻痺などできちんとまぶたが閉じないことにより、涙の分泌調整機能が損なわれ過剰に涙が出てしまう状態をいいます。

【分泌性流涙】
:眼そのものや、その周りのまつ毛やまぶたなどの異常によって涙が過剰に分泌される状態です。
原因となる病気はさまざまで、眼瞼内反症や睫毛乱生や睫毛重生などの眼への物理的な刺激、結膜炎や角膜炎・潰瘍やぶどう膜炎などの炎症による刺激、そして眼圧が急激に上昇することによる緑内障などがあります。
まれに、眼の中に毛や塵、昆虫などの異物が入ってしまうことやある種の点眼薬が刺激になっていることもあります。

【導涙性流涙】
:上にあげたような短頭種ではなくても、先天的に涙を作ったり排泄したりする部分に異常があれば生まれつきの流涙症が起こりえます。
また、まだ眼があいていない状態や直後から眼の炎症を伴う新生子眼炎や、鼻や歯の炎症の影響を受ける涙嚢炎、そしてケガや腫瘍などの障害が理由で涙が多く出すぎてしまっていることがあります。

猫の流涙症について知りましょう。大きな病気のサインかも?

猫の流涙症で行われる検査は?

流涙の原因はさまざまであるため、検査は結果的に多く行われることがあります。

【スリットライト検査】
:特別な角度の光を当てて、眼の傷や炎症の状態を確認します

【シルマーテスト】
:一定時間にどの程度涙が産生されているのか検査用紙を眼のふちにはさんで測定します

【フルオレセイン角膜染色】
:眼の表面の角膜に薄く色素をのせ、ブラックライトで細かい傷を照らし出します

【眼圧測定】
:特殊なプローブで角膜に刺激を与え、眼の中から生じる圧力である眼圧を測定します

その他、日常の流涙の状態を細かく確認したり、眼やその周り、涙が流れる様子をよく観察します。
一般的に猫ちゃんは犬やヒトにくらべると自宅以外の環境に慣れていないため、長時間の検査には耐えることが難しいこともあります。

猫の流涙症について知りましょう。大きな病気のサインかも?

猫の流涙症の治療は?

原因がさまざまであるため、治療も猫ちゃんによってかなり異なります。

内服や点眼、保護などで改善が見込める炎症や外傷、緑内障などは嫌がりすぎないよう、猫の状態をみながら気長に治療することが必要です。
解剖学的異常や先天性の機能異常であれば、外科的な処置が必要になります。

どこまで行うのか、命に関わるような状態でなければ場合によっては対症療法にとどめるのか、専門医の診察を受けるのかなど獣医師とよく相談することが重要です。

まとめ

先天性や仔猫のときの発育異常が関係する流涙症はざんねんながら完治しないこともあり得ます。
しかし、飼い主さんが適切なケアをすることで猫ちゃんにとっては快適な生活を送ることができる可能性は十分にあります。

ぜひ猫ちゃんと良好な関係をもって、毎日を楽しんでくださいね。

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