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ヒトにも感染する可能性あり!犬レプトスピラ症って何?

獣医師
相澤啓介
[記事公開日] 2020-10-26 [最終更新日] 2020-10-28
犬レプトスピラ症はレプトスピラという細菌によって引き起こされる感染症です。
またレプトスピラ症は家畜伝染病予防法で届出伝染病に、感染症法では4類感染症に指定されており、発生の動向が重要な感染症でもあります。
犬だけでなくヒトでも注意すべき犬レプトスピラ症について解説します。
[ 目次 ]
ヒトにも感染する可能性あり!犬レプトスピラ症って何?
犬レプトスピラ症は混合ワクチンにも含まれている感染症です。
聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。
しかし実は、犬レプトスピラ症は犬だけでなくヒトにも感染し、日本国内において発生の動向が注視されていることはご存じでしょうか。
また、獣医師に勧められるがままに漫然とワクチン接種を行っていませんか?
本当にそのワクチンは必要でしょうか?
本記事では、犬レプトスピラ症の症状、治療、予防などについて詳しく解説していきます。
最後まで読んで頂き、感染症予防の意識を持つきっかけにしてもらいたいと思います。

犬レプトスピラ症とは

犬レプトスピラ症は、レプトスピラ・インテロガンスというスピロヘータの感染によって引き起こされます。
スピロヘータは、らせん状の細菌でヒトを含む多くの哺乳類に感染します。
レプトスピラ・インテロガンスは抗原構造や凝集反応による分類により200以上の血清型が存在することが知られています。
その中で、日本に常在している血清型は以下の6種類だと言われています。

・レプトスピラ・イクテロヘモラジー(出血横断型)
・レプトスピラ・カニコーラ(犬疫型)
・レプトスピラ・オータムナリス(秋疫A)
・レプトスピラ・ヘブドマディス(秋疫B)
・レプトスピラ・オーストラリス(秋疫C)
・レプトスピラ・ピオジェネス

またレプトスピラはヒトにも感染し、肝臓や腎臓に障害を及ぼします。
犬だけでなく、家族を守るためにもレプトスピラには気を付けましょう。

犬レプトスピラ症の症状

レプトスピラに感染すると、肝障害や腎障害に付随した症状が見られます。
また、その症状は経過によって分類されます。

・甚急性
元気消失、食欲不振、発熱、知覚過敏、呼吸速迫、嘔吐、貧血による可視粘膜蒼白、頻脈などが見られます。
他にも播種性血管内凝固(DIC)を起こしている場合には、皮膚の点状出血やメレナ(黒色タール様便)、鼻出血が見られる場合があります。

・亜急性
発熱、元気消失の他に、肝障害(出血傾向、黄疸)、腎障害(多飲多尿、乏尿~無尿)が認められます。

・回復後の症状
回復した後も、慢性間質性腎炎、慢性肝炎が見られ、多飲多尿、体重減少、腹水などが認められます。

レプトスピラの感染経路

レプトスピラは動物の腎臓で増殖し、主に尿中に排出されます。
特にネズミなどのげっ歯類での保菌率は高く、生涯にわたり尿中に菌体を排出し続けます。
この尿によって水(河川や池)や土壌(山や森林)が汚染され、感染源となります。
感染経路は様々で、経創傷感染、交尾に伴う感染、経胎盤感染、経粘膜感染、経口感染があります。
抗レプトスピラ抗体を持っていれば、菌体は感染後すぐに除去されるか、無症状キャリアーとなります。

ヒトにも感染する可能性あり!犬レプトスピラ症って何?

犬レプトスピラ症の診断

確定診断は尿や血液からのレプトスピラ菌体の直接検出や、血清中の抗レプトスピラ抗体の検出によって行われます。
しかしこれらの検査は一般の動物病院では困難なため、実際には複数種類の検査や問診によって診断を進めていきます。

・問診
レプトスピラワクチンの接種歴や、他の犬との接触、外出の有無などを確認します。
特にキャンプなど、野生のげっ歯類と直接または間接的に接触する機会があったかどうかは重要になります。

・血液検査
出血および腎不全による貧血や血小板減少が認められる場合があります。
また、肝病変に伴う種々肝酵素の上昇、血清総蛋白の低下、高ビリルビン血症が認められることがあります。
腎病変がある場合には、高窒素血症、高クレアチニン、高リン血症、低カルシウム血症といった腎不全に伴う変化が現れます。

・画像検査
症状の進行具合によって、肝臓および腎臓の腫大が認められます。
他に肝不全や腎不全を起こす疾患の除外のために行うことが多くなります。

・尿検査
尿中にビリルビンが検出されます。
また、赤血球や白血球といった細胞も検出されます。
尿中には菌体が存在する可能性があるため、検体は慎重に取り扱います。

犬レプトスピラ症の治療

・抗菌薬
犬レプトスピラ症の直接的な治療には抗菌薬が効果的です。
しかし症状が見られなくなっても尿への菌の排出は長期間続くため、抗菌薬は長期間投与する必要があります。

・輸液療法
肝不全や腎不全が発現している場合には輸液を行い、状態の改善を図ります。
特に腎不全によって尿が作られなくなっている場合には利尿薬も積極的に使用していきます。

・制吐薬や止瀉薬
嘔吐や下痢の症状がひどい場合には薬剤を用いて症状を緩和します。
脱水や電解質の不均衡を是正し、感染症に打ち勝つ体力を温存するためです。

・播種性血管内凝固(DIC)に対する治療
犬レプトスピラ症の末期には、全身の血管で血栓が形成される播種性血管内凝固(DIC)と呼ばれる深刻な病態に陥ることがあります。
この場合には血栓形成抑制剤を使用し、必要であれば輸血を行います。

犬レプトスピラ症の予後

感染しても症状の出ない不顕性感染もあり、感染症としての予後は悪くありません。
しかし甚急性症例や、重度の多臓器不全に陥った場合、播種性血管内凝固(DIC)の病態に進行した場合などの予後は悪いと言えます。
症状を見逃さず、早期診断と早期治療がカギとなります。

犬レプトスピラ症の予防

犬レプトスピラ症にはワクチンが存在します。
しかし、ワクチンに含まれている血清型以外のものは予防できないため、愛犬がどの種類のワクチンを接種しているのかを把握しておくことは非常に重要です。
地域によっても流行しているレプトスピラの血清型が異なるので、住んでいる地域に合ったワクチンを選ぶことが大切です。
また、山などの野外に愛犬を連れて行きたいときは、レプトスピラ症のみが予防できるワクチンを追加接種します。

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