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犬のワクチンの必要性、狂犬病の国内発症(人)を受けて

獣医師
若林薫
[記事公開日] 2020-09-07 [最終更新日] 2020-09-08
 令和2年に国内で14年ぶりの人での狂犬病の発症がありました。犬の狂犬病ワクチン接種は法で定められた義務ですが、接種を行っていない飼い主さんもいます。今一度ワクチンについて勉強をしていきましょう
犬のワクチンの必要性、狂犬病の国内発症(人)を受けて
 最後に愛犬にワクチンを打ったのはいつでしょうか?毎年接種している飼い主さんもいれば、そうでない方もいるでしょう。ワクチンで防ぐことができる病気は聞きなれないものばかりです。「本当にこんな病気が存在するのか?」「動物病院の収益のために定期的に接種させているのでは?」といった意見も耳に入ることがあります。狂犬病に関しては、日本に病原体が侵入していないのが奇跡といっても過言ではない状況です。最近、14年ぶりの人での狂犬病発症があったばかりです。私達と愛犬の社会を守るためにワクチンはあります。ワクチネーションの必要性について勉強をしていきましょう。

狂犬病の国内発症(人)

〇日本国内での最近の発症例
 令和2年に国内で14年ぶりの人での狂犬病の発症がありました。患者はフィリピンで狂犬病陽性の犬に噛まれたことにより感染し、来日後発症・死亡したと報告されています。これは輸入感染症例であり、国内の動物に狂犬病ウイルスが確認されたわけではありません。

〇狂犬病について
 狂犬病は全ての哺乳類(犬、猫、人含む)に感染することができる狂犬病ウイルスを原因とした、致死性の疾病です。発症した場合、ほぼ100%死亡します。唾液などに含まれたウイルスが、咬傷などから侵入することで感染が成立します。日本では狂犬病予防法によりすべての犬における年一回のワクチン接種と、市町村への届け出を義務付けています。

狂犬病の国内侵入の危険性

〇狂犬病清浄国
 狂犬病清浄国は日本を含めて11ヵ国しかありません。東アジアで狂犬病清浄国は日本だけであり、いつ周辺国から狂犬病が侵入してもおかしくない状況にあります。台湾では52年ぶりの野生動物での狂犬病発症が確認されており、我が国を取り巻く狂犬病防除は厳しさを増しています。

〇狂犬病が国内に侵入した場合
 狂犬病予防法では、飼育されている犬を係留しなければなりません。その後、獣医師の一斉検診、ワクチン接種が行われます。係留命令が出ているにも関わらず、係留されていない犬や、狂犬病と診断された犬においては、必要に応じて殺処分を行う場合があります。狂犬病侵入という重大な事態に対して、どのような対応がとられるかは予想できません。現在の狂犬病予防法を順守し、定期的な狂犬病ワクチン接種を行うことは、リスク低減につながります。

〇侵入した感染症を撲滅する難しさ
 日本の野外に生息する哺乳類(食肉目)にはタヌキ、野猫、ハクビシン、アライグマなどがおり、狂犬病に感染するとこれを媒介します。令和元年に国内で26年ぶりに発生した豚熱(豚コレラ)は豚とイノシシに感染し、野生下ではイノシシが感染を拡大させると知られています。感染拡大防止策としてイノシシの捕獲・殺処分や、ワクチネーションを行っていますが、自衛隊の協力を含めた多大な労力を必要としています。イノシシよりも数が多く、かつ都会にも順応しやすい、タヌキや野猫などの動物が狂犬病の媒介者になってしまった場合、感染拡大防止は困難になるでしょう。

〇疾病侵入防止への取り組み
 日本国内への狂犬病侵入を防ぐ取り組みは、農林水産省管轄の動物検疫所が行なっています。日本の動物検疫では、輸入前の犬猫に対して、事前の届け出や、マイクロチップ挿入による個体識別、2回の狂犬病ワクチン接種と抗体検査、180日間の輸出前待機、輸出国の動物検疫証明書が必要になります。また、指定された空海港からしか犬や猫を輸入することはできません。

犬のワクチンの必要性、狂犬病の国内発症(人)を受けて

ワクチネーションの重要性

〇感染させない、感染を広げない
 狂犬病ワクチンや、混合ワクチンは接種した犬を致死的な感染症から守るものですが、それだけが目的ではありません。一定以上のワクチン接種率が達成された集団では、集団免疫により感染症の拡大を防ぐことができます。初乳による移行抗体の影響によりワクチンの効果が不確実である子犬や、強いワクチンアレルギーなどにより接種ができない犬を致死的な感染症から守ることができます。また、狂犬病のようなズーノーシス(人獣共通感染症)の感染から我々の社会を守る意味合いもあります。

〇ワクチンを接種できない場合
 老衰や持病、ワクチンアレルギーが強く発症する体質などで狂犬病ワクチンを接種できない犬に対して、獣医師は狂犬病予防注射実施猶予証明書を発行することができます。この証明書は市町村へ提出して下さい。

さいごに

 感染症はいつ、何がきっかけで流行するのか誰にも予測できません。何十年も発生していないものでさえ、来年流行している可能性があるのです。私達人間と犬は、果てしない昔から共存することで社会を築いてきました。狂犬病のような感染症はその社会を揺らがす大きな問題なのです。平和な今だからこそ、ワクチンの必要性についてもう一度考える必要があります。

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