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子犬の後肢のゆるみ 先天性疾患とは?リスクとうまく付き合う方法

獣医師
若林薫
[記事公開日] 2020-07-02 [最終更新日] 2020-07-02
 先天性疾患という言葉をご存じでしょうか?生まれたときにすでに持っている病気のことを言います。子犬は先天性疾患のリスクを持って生まれてきますが、身体的特徴と同じ個性とも言えます。先天性疾患のリスクをできるだけ避けて、子犬を健康に育てるためにはどんなことに気を付ければいいのでしょうか?わんちゃんとの将来設計のために学んでいきましょう。
子犬の後肢のゆるみ 先天性疾患とは?リスクとうまく付き合う方法
 ころころと太って無邪気にじゃれあう子犬はとてもかわいらしいですよね。新しくわんちゃんを飼い始めたい、そろそろお家のわんちゃんのお友達が欲しい、子犬の姿をみているとつい思ってしまいます。
 先天性疾患という言葉をご存じでしょうか?わんちゃんが生まれたときに持っている病気を指す言葉です。子犬を飼うということは先天性疾患のリスクを負ってしまうということでもあります。先天性疾患のリスクをできるだけ避けて、子犬を健康に育てるためにはどんなことに気を付ければいいのでしょうか?わんちゃんとの将来設計のために先天性疾患について学んでいきましょう。

先天性疾患との上手な付き合い方

 もしたくさんの犬の群れの中で愛するわんちゃんが遊んでいるとしたら?きっと飼い主さんはどこにわんちゃんがいてもすぐにわかると思います。それはわんちゃんが様々な特徴・個性を生まれ持っているからです。少しだけ鼻が長かったり、少しだけしっぽが小さかったり。先天性疾患のリスクを持って生まれてくるというのは、その様々な個性の中で病気になる可能性があるものを持って生まれてきたということになります。
 先天性疾患には多くの種類があります。外見上判断ができないものもありますが、子犬の身体の特徴からある程度のリスクを推測することができるものもあります。先ほど説明した通り、先天性疾患のリスクとはある種の個性です。ペットショップで運命的な出会いをしたわんちゃんが先天性疾患のリスクが高かった。リスクが高いから飼ってはいけない、そういうことではありません。先天性疾患の高いリスクを持って生まれてきた子犬でも、飼い主さんが気を付けてあげることである程度発症をコントロールすることができます。仮にすでに発症している先天性疾患でも、飼い主さんがきちんとした知識をもって観察し、必要に応じて動物病院に連れて行くことで維持・良化できる場合もあります。人が病気を誰しもが持っているように、わんちゃんも病気をもっています。先天性疾患について知ることで上手く付き合っていく方法が分かるようになります。

子犬の後肢のゆるみ 先天性疾患とは?リスクとうまく付き合う方法

後肢のゆるみと先天性疾患1

 わんちゃんのひざにあたるところに膝蓋骨(しつがいこつ)と呼ばれる骨があります。人でいうところの膝のお皿です。正常であれば膝蓋骨は膝関節にある溝に腱で固定されていて、一定方向にしか動きません。膝蓋骨を固定する腱や溝に異常があり、膝蓋骨が外れてしまう病気を膝蓋骨脱臼(パテラ)といいます。
 子犬の膝蓋骨は正常な状態でゆるみがあります。ゆるみの大きさには大小あり、パテラのリスクが高いと言えるほどのゆるみを持っている子もいます。ペットショップでひざのゆるみ有・パテラ有などと表記されているとき、このような大きなゆるみを持っていると思われます。通常、子犬の膝蓋骨のゆるみは成長と共に収まっていきます。パテラのリスクを持っている子犬でも同じ傾向を持ちます。

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後肢のゆるみと先天性疾患2

 わんちゃんも人と同じように股関節を持ちます。股関節は骨盤と後ろ足の骨で出来ている間接です。股関節を形成する骨に問題があり異常な可動域を持つ場合、股関節形成不全と呼ばれます。
 子犬の股関節は膝蓋骨と同じように正常な状態でゆるみをもっています。ゆるみの大小がある点や、股関節形成不全のリスクを持つ子犬がいる点でも膝蓋骨と同様です。子犬の股関節のゆるみもまた成長とともに収まっていく場合が多いです。

後肢のリスクを減らすためには?

 膝蓋骨脱臼・股関節形成不全のリスクを少しでも減らすためにはどうすればいいのでしょうか?子犬の足を滑らせないことが大事です。足が滑ることで膝蓋骨や股関節に無理な力がかかります。無理な力は膝蓋骨・股関節のゆるみを大きくする原因になってしまうのです。
 子犬の足を滑らせないためには1)フローリング材の床にクッション素材のシートを敷く、2)わんちゃんの肉球の間に生えている毛をトリミングする、以上のことが重要です。フローリング材はとても滑りやすい材質をしています。肉球の毛も肉球の摩擦を減らしてしまう為、足が滑る原因になります。肉球の間には普段は毛で覆われて見えない皮でできたひだがあります。誤ってひだを切ってしまうと大変です。肉球の毛はトリマーや獣医師にトリミングしてもらうことをお勧めします。
 後肢の先天性疾患のリスクを持つ子犬を飼う場合、注意して観察して欲しい点があります。歩き方と後ろ足の接地です。後肢に異常があるわんちゃんは歩き方に特徴が出る傾向があります。極端ながに股や内股の場合なんらかの異常がある可能性があります。また、後ろ脚を地面につけたがらない場合、痛みや違和感を感じていると思われます。一度、動物病院で見てもらったほうが安心でしょう。

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筋肉のゆるみと先天性疾患

 筋肉と筋肉の間が緩んで隙間から脂肪や内臓が皮膚の下に出てきてしまう病気をヘルニアと言います。若齢のわんちゃんのヘルニアとして臍ヘルニア・鼠経ヘルニアなどがあります。臍ヘルニアはいわゆるでべそです。お母さんとつながっていたへその緒が身体の中に入るための通り道を臍輪(さいりん)と言います。臍ヘルニアは臍輪を通って脂肪などが皮膚の下に出てきてしまう病気です。また鼠経ヘルニアは内股にある鼠経輪(そけいりん)を通ってヘルニアが出来てしまう病気です。
 子犬の筋肉はまだ成長途中です。子犬の臍輪や鼠経輪は正常な状態でも筋肉によってふさがっていません。子犬はごはんを食べるとおなかがまん丸になります。まん丸になったおなかが脂肪や内臓を押し出すことで臍輪や鼠経輪を押し広げて皮下にふくらみができることがあります。子犬の成長とともに筋肉が発達することで臍輪や鼠経輪をふさぎ、ふくらみはなくなっていきます。しかし、生まれつき臍輪や鼠経輪が大きく、ヘルニアのリスクが高い子もいます。

ヘルニアのリスクを減らすためには?

 ヘルニアのリスクを持つ子犬を飼う場合、注意して観察して欲しい点があります。ヘルニアの内容物の動き、色・温度です。ヘルニアの内容物がおなかの中と皮ふの下を自由に移動できる場合、問題はそこまで大きくありません。ヘルニアの内容物がいきなり動かなくなった。色が赤くなっている。熱感がある。そういう場合は速やかに動物病院に連れていってあげて下さい。嵌頓(かんとん)と呼ばれる状態になっている可能性が高いからです。嵌頓とはヘルニアの内容物が中で詰まってしまっている状態をいいます。血液の流れが阻害されて壊死を起こしてしまったり、炎症・感染を引き起こしてしまう状態にあります。また、ヘルニアの内容物がなにやら動きまわる、そんな場合も要注意です。腸などの大事な内臓が皮膚の下まで出てきてしまっているかもしれません。
 わんちゃんが一歳ぐらいになってもヘルニアが治らない、そんなときは動物病院の獣医師に相談するといいかもしれません。わんちゃんの去勢・避妊手術を行う予定があれば、手術のついでにヘルニア輪をふさぐことも可能です。その場合、麻酔をかけるリスクが一度になります。

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やってはいけないこと

 ペットショップで子犬を触るとき、先天性疾患のリスクが気になってしまうかもしれません。そんなときに子犬を必要以上に強く触ってはいけません。子犬はとても繊細な生き物です。簡単にケガをしてしまいます。ショップの店員、もしくはそのショップに併設された動物病院の獣医師に聞いてみましょう。快く答えてくれるはずです。また、おうちのわんちゃんの気になる部位を強く触ることもやめましょう。心配なときは専門家に頼るのが一番安心ですよ。ぜひ、獣医師までご相談下さい。

まとめ

 子犬は先天性疾患と呼ばれる生まれながらに持つ病気のリスクがあります。先天性疾患は顔のかたちや毛の色のような個性の一部です。飼い主さんが病気についてよく知ることで上手く付き合うことができます。また子犬の持つ先天性疾患のリスクは大人になることで減っていく場合があります。
 膝蓋骨脱臼・股関節脱臼のような後肢の疾患のリスクを軽減するためにはわんちゃんが床を滑らないようにするのがいいでしょう。臍ヘルニア・鼠経ヘルニアのような疾患は観察によって異常を早期発見することがリスクの軽減につながります。
 私たち人間が病気を持つように、わんちゃんも病気を持ちます。私たちが病気とうまく付き合って生きていくように、わんちゃんも病気とうまく付き合って生きていくことができます。先天性疾患についてよく理解することで、あなたと愛するわんちゃんが先天性疾患と上手に付き合っていけますようにと願います。

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