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猫の食事療法食(腎不全・尿石症)

獣医師
若林薫
[記事公開日] 2020-06-30 [最終更新日] 2020-06-30
 食事療法食とは病気の治療と並行して処方されるスペシャルなごはんです。病気の治療をサポートする役割があります。ねこちゃんの腎不全・尿石症に対して処方される食事療法食についてわかりやすく説明しました。猫ちゃんの病気のリスクを少しでも減らしたい、長生きしてほしい、そんな飼い主さんにぜひご一読いただければと思います。
猫の食事療法食(腎不全・尿石症)
 みなさんは猫ちゃんの毎日の食事にどんなご飯を与えていますか?ねこちゃんの健康を願って、頭を悩ませている飼い主さんも多いのではないでしょうか?今回の記事は腎不全・尿石症をケアする食事療法食についてです。食事療法食とは獣医師の診断のもと、治療の一環として処方されるスペシャルなご飯です。身体が悪い猫ちゃんをサポートする役割があります。腎不全・尿石症は多くのねこちゃんのウィークポイントとして知られています。猫ちゃんの病気のリスクを少しでも減らしたい、長生きしてほしい、そんな飼い主さんにぜひご一読いただければと思います。

食事療法食と普通のごはん(総合栄養食)の違い

 食事療法食とは獣医師の診断のもと、病気のねこちゃんの治療のサポートを目的として処方される特別なごはんです。お薬のように病気の原因を直接治療する作用が強いものではありませんが、的確な処方によって治療を力強くサポートしてくれる頼もしいごはんです。
 実は食事療法食はネット通販で購入することができます。愛するねこちゃんが長期の闘病をしている飼い主さんの通院の負担を減らす目的で販売されている場合が多いです。食事療法食は病気の治療をサポートしてくれる頼もしい存在ですが、してはいけないことが一つあります。自己判断で食事療法食をねこちゃんに与えることです。飼い主さんが普段ねこちゃんに与えているごはんは総合栄養食と呼ばれ、ねこちゃんが健康に生きていける栄養素が含まれているごはんになります。食事療法食は特定の病気の治療を目的としているため、必要な栄養素がすべて含まれているとは限りません。加えて、与える食事療法食の区分を間違えると、病気を悪化させてしまう場合すらあります。

猫の食事療法食(腎不全・尿石症)

ねこちゃんの腎不全・尿石症

 そもそもねこちゃんの腎不全・尿石症とはどのような病気なのでしょうか?ねこちゃんは腎臓の機能が弱い動物です。ねこちゃんの動物病院の来院原因の1位が慢性腎不全、3位が膀胱炎だと言われています。腎不全に関してはねこちゃんの死因の2位という報告もなされています。
 腎不全とは腎臓のろ過機能になんらかの異常が起きることで体内の毒物が排出できなくなってしまう病気です。尿石症とはねこちゃんの尿中のカルシウムなどのミネラル分が尿のpHの異常や細菌の感染などで結晶化して尿石となり、尿の通り道を傷つけたり、塞いでしまう病気ですが、腎不全や膀胱炎と深い関わりがあります。一例をあげると、尿の通り道を尿石が塞いでしまうことで腎臓のろ過ができなくなってしまうと腎不全が起きます。また、膀胱でできた尿石が膀胱を傷つけることで膀胱炎は引き起こされます。逆に細菌感染が膀胱で起きた場合にも尿石が膀胱にできる場合があります。

猫の食事療法食(腎不全・尿石症)

腎不全と食事療法食

 腎不全をサポートする食事療法食には、1)二次性上皮小体機能向上症、2)尿毒素症、の防止などの様々な効果を期待して栄養素が配分されています。例えば、低リン・低タンパク・高エネルギーの特徴があります。

1)二次性上皮小体機能向上症について
 腎不全は進行することで腎臓でのろ過・尿からの再吸収・ビタミンの生成などの機能が衰えていきます。腎臓で生成されるビタミンにビタミンDがありますが、ビタミンDは骨を構成するカルシウムの吸収を助けます。腎不全によりビタミンDの生成が低下するとカルシウムの血中濃度が減少します。また、腎臓でのリンのろ過が低下すると血中のリンの濃度が上昇します。カルシウムの血中濃度減少・リンの血中濃度増加により、上皮小体と呼ばれる器官から過剰にホルモンが放出され、骨のカルシウムを血液中に送り出します。その結果、腎不全のねこちゃんでは二次性上皮小体機能向上症による骨の骨折が起こる場合があります。腎不全をサポートする食事療法食で低リンの特徴があるのは二次性上皮小体向上症の発症を抑える目的があります。

2)尿毒素症について
 食事により吸収されたタンパク質は最終的にアンモニアになり腎臓から排出されます。腎不全のねこちゃんではアンモニアの排出が難しくなり、血液中のアンモニアが増加します。アンモニアの濃度が高くなるとアンモニアの毒性が中枢神経系(脳など)を攻撃するようになります。これを尿毒素症といい、てんかんのような全身の筋肉の硬直と痙攣を引き起こしたり、気持ち悪さにより嘔吐してしまい食事や水を十分にとることができなくなってしまいます。腎不全をサポートする食事療法食で低タンパク・高エネルギーの特色があるのは尿毒素症の発症を抑える、または食欲低下によるエネルギー不足を補う目的があります。

猫の食事療法食(腎不全・尿石症)

尿石症と食事療法食

 尿石症をケアする食事療法食には尿石の発生を抑える・尿石の排出を促す効果を期待して栄養素が配分されています。尿石にはいくつかの種類がありますが、尿が酸性またはアルカリ性に過剰に傾いたときに発生しやすいものがあります。尿石症をケアする食事療法食に含まれる栄養素によりpHを正しくコントロールすることで、pHがおかしくなってしまった尿で出来た尿石を溶かしたり、新たな発生を防いだりすることができます。
 食事療法食の種類によっては塩分が多く含まれている場合があります。つまり味の濃いごはんになっているとも言えます。味の濃いごはんを食べたねこちゃんはお水をたくさん飲むでしょう。ねこちゃんの身体の中でも塩分の作用でおしっこがたくさん作られます。おしっこの量が増えるとおしっこに含まれる尿石の原因物質の濃度が薄まり、新たな尿石の発生を抑えます。また、量の増えたおしっこそのもので小さな尿石を排出することができます。

※注意してほしいこと
 尿がアルカリ性なったことが原因で出てくる尿石を持つねこちゃんに、尿をアルカリ性にする食事療法食を与えたらどうなってしまうでしょうか?塩分により悪化する腎不全を持つねこちゃんに、塩分が多く含まれる食事療法食を与えたらどうなってしまうでしょうか?食事療法食は治療のサポートのための力強い味方です。ですが、紛らわしい種類が多くあり、種類を間違えると大変なことになってしまいます。ねこちゃんの健康を守り、病気をきちんと治療するためにも、食事療法食は必ず獣医師の指示のもと与えて下さい。

まとめ

 食事療法食とは病気の治療をサポートするためのスペシャルなごはんです。腎不全と尿石症はねこちゃんの代表的な病気ですが、どちらの病気にも対応した食事療法食が販売されています。腎不全では二次性上皮小体向上症・尿毒素症のリスクを軽減し、尿石症では尿石の発生を防ぎ、排出を助ける効果が期待されています。食事療法食は正しく使用されることで力強いサポートをしてくれますが、用途を間違えると病気を悪化させてしまう場合すらあります。必ず、獣医師の指示のもと与えるようにして下さい。腎不全・尿石症と向かい合うために食事療法食の知識は役に立つでしょう。飼い主さんとねこちゃんの素敵な毎日がずっと続きますよう願っています。

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