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猫の慢性腎不全について

獣医師
高橋 渉
[記事公開日] 2020-02-10 [最終更新日] 2020-02-10
・慢性腎不全とは
・猫の慢性腎不全の原因と起こりやすい猫の特徴
・猫の慢性腎不全の症状
・猫の慢性腎不全の診断
・猫の慢性腎不全の治療
猫の慢性腎不全について
うちの猫、年をとってからたくさん水を飲んでいる気がするし、頻繁におしっこにいくようになった。それは、もしかしたら慢性腎不全かもしれません。今回は慢性腎不全について解説いたします。

慢性腎不全とは

腎臓の機能は、①水分と電解質のバランス調節、②身体の老廃物の除去、③ホルモンの分泌などがあります。腎不全とは、腎臓の機能が低下することで、本来排出されるべき老廃物が身体に蓄積され、食欲不振などの尿毒症症状が起こっている状態です。そして、腎不全には急性と慢性の二つに分類されており、慢性腎不全とは、3か月以上持続する腎臓の障害と腎臓の機能の低下している状態のことです。

猫の慢性腎不全の原因と起こりやすい猫の特徴

猫の慢性腎不全は、その原因を特定することが困難な場合も多く、高齢の猫がよく発症するため腎臓そのものの寿命のようにも思われます。しかし、中には腎不全の原因が残存しておりその治療が必要な場合もあるので注意が必要です。腎不全の原因は様々ありますが、例えば、腎結石、腎炎、多発性嚢胞腎、高血圧、中毒、蓄積病、腫瘍などがあげられます。そのうち、多発性嚢胞腎は、ペルシャ系やアメリカンショートヘアーやそれらのミックス猫に多発するため注意が必要です。

猫の慢性腎不全の症状

猫の慢性腎不全の症状は、病気の進行とともに変化していきます。慢性腎不全は、4つのステージに分類されており、ステージが進むにつれ、より多くの症状が現れます。ただし、必ずしもステージの通りに症状が出ない場合もあるので注意しましょう
ステージ1:多くの場合無症状
ステージ2:たくさん水を飲み、おしっこする(多飲多尿)。
ステージ3:食欲低下、活動性低下、脱水、嘔吐など
ステージ4:食欲廃絶、嗜眠傾向、神経症状、脱水、嘔吐、下痢、口内炎など
があります。

猫の慢性腎不全の診断

慢性腎不全は、腎臓の障害は不可逆的なため、早期発見、早期治療が重要です。慢性腎不全の診断は、問診、身体検査、血液検査、尿検査、血圧測定、画像検査などがあります。腎不全の診断は、腎臓の状態の確認とともにその原因についても考える必要があります。
1. 問診
ご家族には、上記の症状を含む猫の状態について確認します。特に猫の飲水量が通常と比較して多くないか、尿が薄くないか、量が多くないかなどについて詳しく確認します。もし特に症状がなくても、高齢などの場合は、健康診断を兼ねて検査をお勧めします。
2. 身体検査
身体検査では、体重の減少の有無、脱水の程度などを確認します。他に心雑音、粘膜の色、口内炎の有無などの異常がないかを確認します。
3. 血液検査
血液検査では、BUN(尿素窒素)とCREA(クレアチニン)などが上昇します。この2つはよくルーチンで測る項目ですがこれらは腎機能が75%程度失われた場合に上がってくる数値であることを注意しなければなりません。そのため、最近ではSDMA(対称性ジメチルアルギニン)という項目が腎臓の機能が40%程度失われると上がってくる項目として早期診断のツールとしてよく測られるようになってきました。しかし、それぞれの項目は、解釈に一長一短があり、一つの項目で判断せず複合して解釈する必要があります。その他の項目としては、腎不全が進行すると貧血が起こる場合があるため貧血の有無、リンやカルシウムなどのミネラル、電解質なども異常がおこるためチェックする必要があります。
4. 尿検査
尿は、腎臓の状態を教えてくれるとても重要な検査です。例えば、腎臓は、腎不全が悪化することで尿を濃くする機能を失い、徐々に薄い尿を排出するようになります。そのため、尿検査の尿比重の項目が基準値よりも下がっていきます。また、同様に腎不全が進行すると尿中に多くの蛋白質が排出されるようになります。その他に腎不全の原因となりうるものの確認として、尿石や感染の有無なども確認する必要があります。
5. 血圧測定
慢性腎不全では、高頻度に高血圧が認められるため血圧を測定する必要があります。
6.画像検査
超音波検査とレントゲン検査によって腎臓の大きさ、形状、血流のなどの他、腎結石や嚢胞腎、腎臓腫瘍などを疑う所見がないかを確認します。

猫の慢性腎不全の治療

慢性腎不全は、多くが進行性であり、一度障害されてしまった腎臓はもとには戻らないため、早期発見、早期治療が重要になります。慢性腎不全の治療には、食餌療法、点滴治療、抗高血圧療法、リン吸着薬など様々なものがあります。それらを猫の状態や検査結果によって適宜治療を追加していきます。
1. 食餌療法
初期から行われるのが食餌療法です。食餌療法によって、腎臓に対して負担をかけるタンパク質やリンなどを制限し、腎臓の寿命を延ばすことができます。
2. 点滴治療
腎不全が進行すると脱水し、状態が悪化するため、それを改善させるために適宜点滴を行います。
3. 抗高血圧療法
高血圧は、腎臓などに対して大きな負担を与えます。そのため、高血圧の改善のために内服での抗高血圧療法を行うことで腎臓の負担を和らげます。
4. 吸着薬
食事中に含まれるリンなどの腎臓へ負担をかける物質を吸着し、吸収させないようにします。
5. その他
嘔吐などがある場合は制吐剤、食欲不振に対し食欲増進剤などその子その子によって症状に合わせた治療が必要になります。

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