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猫の甲状腺機能亢進症について

獣医師
高橋 渉
[記事公開日] 2020-03-27 [最終更新日] 2020-03-27
・甲状腺機能亢進症とは
・猫の甲状腺機能亢進症の原因となりやすい猫の特徴
・猫の甲状腺機能亢進症の症状
・猫の甲状腺機能亢進症の診断
・猫の甲状腺機能亢進症の治療
猫の甲状腺機能亢進症について
うちの猫は高齢でもよく食べてとても元気だけど、最近よく吐くし体重も減ってきたな、年のせいかなと思ったらそれは、甲状腺機能亢進症という病気のせいかもしれません。今回は猫に多い甲状腺機能亢進症について解説いたします

甲状腺機能亢進症とは

甲状腺とは、気管の横ついている小さな臓器です。この臓器から出されるのが甲状腺ホルモンです。甲状腺ホルモンは、脳から出る甲状腺刺激ホルモンによって甲状腺から食事中に含まれるヨウ素をもとに産生、分泌されます。このホルモンは、新陳代謝の促進や心臓や胃腸を活性化する働きがあります。甲状腺機能亢進症は、甲状腺から甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで様々な症状を引き起こす病気です。

猫の甲状腺機能亢進症の原因となりやすい猫の特徴

猫の甲状腺機能亢進症の原因は、甲状腺の過形成や腫瘍の発生によって起こるとされています。そして、この病気は7歳以上の猫でよく起こります。

猫の甲状腺機能亢進症の症状

この病気の特徴として下記のものがあげられます。
・多食
・多飲多尿
・嘔吐
・活動性亢進
・体重減少
・パンティング
などがあげられます。猫のご家族は、老齢の猫がよく食べて活発に動いているので、一見元気に見えてしまうため、この病気を知らないと発見が遅くなってしまうことがあります。猫の年齢を人に当てはめて考えてみると、高齢のおじいちゃんおばあちゃんが元気にご飯を一気に食べて吐いているようなものなので、そう考えると異常だとわかりやすいかもしれませんね。

猫の甲状腺機能亢進症の診断

猫の甲状腺機能亢進症の診断法は、問診、身体検査によるこの疾患の特徴の確認と血液検査などによって診断を行います。
① 問診、身体検査
獣医師は、まず上記のような症状の有無について確認します。しかし、多飲多尿、嘔吐、体重減少などは他の多くの疾患でも見られる特徴のため、上記がすべて当てはまっても他の疾患のことを考慮し、検査を行わなければなりません。
次に身体検査で確認される場合がある異常としては、下記のものがあげられます。
・甲状腺の腫大
・削痩
・脱水
・心臓の雑音
・頻脈
・爪の過長
・被毛粗剛
などです。
② 血液検査
血液検査で確認できる異常としては、ALTやALKPという肝酵素上昇があげられます。そして、これらの検査で甲状腺機能亢進症の疑いがある場合、診断を確定させるために甲状腺ホルモンの濃度を測る必要があります。甲状腺ホルモンはT4と遊離T4という2つのホルモンがあり、この2つがともに上昇している場合高い確率で甲状腺機能亢進症が確定されます
③ その他
その他の検査として、甲状腺機能亢進症の猫は、心臓の異常を起こしている場合が多いため心臓の超音波検査やレントゲン検査、血圧測定を行うといいでしょう。そして、異常が見つかった場合は、必要な心臓に対する治療を追加することがあります。

猫の甲状腺機能亢進症の治療

猫の甲状腺機能亢進症の治療には、食餌療法、投薬による内科治療、外科治療の3つがあげられます。
① 食餌療法
まず、勧められるのが食餌療法です。なぜなら、この疾患は、投薬による内科治療は症状を抑えることが主眼となり投薬治療を生涯継続することが前提になります。そのため、食餌の変更のみでうまくコントロールすることができれば、猫にも飼い主にも負担が少なく済みます。食餌療法をしては、甲状腺ホルモンの原材料であるヨードの量を制限した食餌が用いられます。この食餌を与え始めた場合、他のおやつやトッピングは厳禁になります。せっかくヨウ素の少ないフードを用いても他から摂取してしまったら意味がなくなってしまうからです。この食餌変更のみで甲状腺ホルモンの値が下がり、症状が改善された場合、それを与え続けることが治療となります。また、食餌療法の治療のみでは、甲状腺の値が十分に下がらない場合、内服薬による治療を追加する場合もあります。
② 投薬による内科療法
食餌療法による効果が不十分もしくは食餌を食べない場合などのときは、抗甲状腺薬のチアマゾールという薬を与えることで症状を抑える内科治療を行います。この薬を投薬することで甲状腺ホルモンの合成を阻害し、甲状腺のホルモンの量を減らすことができます。チアマゾールの量が適切であれば、徐々に症状が改善されていくでしょう。しかし、改善があまり見られない場合、血液検査でT4の数値を測定し、十分な用量まで薬を増量していきます。
甲状腺の内科治療の注意点としては、甲状腺機能亢進症の猫の中に腎不全を持っているがそれが甲状腺機能亢進症によって、隠されている子がおり、内科治療を始めることで隠れていた腎不全が出てくることがあることです。このことを知らず投薬後腎不全が見つかると、まるで甲状腺の薬の副作用で腎不全になったかのように錯覚してしまうことがあるため注意が必要です。そのため、甲状腺の治療を行う際は、腎機能についてもモニターを行って、腎不全が出ないか気を付ける必要があります。また、もし腎不全が見つかった場合は、腎不全の治療を行いつつ、その値によっては獣医と相談の上、抗甲状腺薬を続けるか漸減、中止するかなどを検討する必要があります。
③ 外科手術
異常な甲状腺を外科によって切除する方法です。この治療を行ううえでは、まず内科治療を行い、潜在的な腎不全の有無の確認をします。そして、外科が適応と判断された場合に、切除を行います。術後状態や甲状腺ホルモンの値によっては、甲状腺ホルモンを補充する薬を与えることになる場合もあります。

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