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マダニと重症熱性血小板減少症候群(SFTS)

獣医師
高木俊輔
[記事公開日] 2020-03-03 [最終更新日] 2020-03-03
数年前からマダニ予防の重要性が注目されています。もともとマダニがさまざまな感染症を媒介することは知られていました。その一つがSFTSウイルスが原因となる重症熱性血小板減少症候群(SFTS)という病気です。しかし、SFTSウイルスに感染して発症する動物は人間だけだと考えられていたのです。それが2017年に犬と猫での発症が発見されたことで一気に注目度が高まりました。人間がマダニに咬まれなくても、ペットの犬や猫からこの病気が感染する可能性がある以上、しっかり予防をすることがペットだけでなく我々人間の安全にもつながるのです。
マダニと重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
マダニという外部寄生虫について、そしてその予防、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)という病気について解説します。

マダニについて

マダニは吸血する節足動物で、唯一の栄養源が動物の血液です。体内にさまざまな感染症の原因となる病原体がいたり、多数のマダニが寄生すると犬や猫に貧血を起こすことがあります。以前から犬のバベシア症という病気を媒介することで、特に西日本では警戒されてきました。

卵から孵化し、脱皮を繰り返しながら成長していきます。卵から孵化した時点での状態は幼ダニと呼ばれ、体長が約1ミリ程度です。犬や猫に寄生して吸血した後に脱皮し、体長2〜3ミリの若ダニになります。さらに寄生して吸血し、脱皮をして体長4〜8ミリの成ダニになります。成ダニはオスとメスに分かれます。吸血し終わったメスの成ダニは2週間から1ヶ月後に産卵します。卵の数は数百個から数千個と言われています。

このように、成長過程で3回吸血しますが、毎回吸血する相手は変わります。これによって病原体を運んでしまうことが問題になります。

ちなみに、アレルギーの原因となるハウスダストマイトとは全く違う種類です。また、吸血すると体重が数百倍に増えることもあります。そのため、急にできものができたということで動物病院を受診される方も多くいます。

日本には実に40種類以上のマダニが生息しており、犬や猫に寄生することが知られているのはそのうちの約14種類です。中でもフタトゲチマダニ、キチマダニ、ヤマアラシチマダニ、ヤマトチマダニ、シュルツェマダニ、ヤマトマダニ、タネガタマダニ、タカサゴキララマダニ、クリイロコイタマダニの9種類は特に報告例が多い種類です。

一般的に、越冬した成ダニは春先から初夏にかけて産卵し、卵から孵化した幼ダニが秋に大量に発生します。そのため、春先から初夏にかけて若ダニと成ダニが、秋には幼ダニの活動が活発になります。また、活動時期がずれる種類もあるため、マダニの脅威は年間を通じて存在すると考えるべきです。

マダニの予防

マダニの予防薬は、スポットタイプ(首筋に薬を垂らすタイプ)と、内服薬タイプがあります。どちらもほとんどの製品で1ヶ月効果が持続するため、月に1回投与するのが基本です。最近では3ヶ月持続する製品もあります。しかしながら、予防薬だけで100%予防できるかというと、そうではありません。予防薬はノミ予防の成分も含まれていますが、ノミ予防の成分と比べると体に残りにくいため、マダニの活動が活発な時期やマダニが多く生息する場所に出かける場合は予防薬を追加投与したり、犬用の虫除けスプレーを使うなどした方がいいとされています。

マダニが付いていたら

もしマダニが犬や猫に付いていたら、無理に引っ張って取るのはやめましょう。マダニには「口器」と呼ばれる宿主の皮膚に差し込む部分があり、その部分が犬や猫の皮膚に残ってしまう危険があるためです。残ってしまうと、そこで炎症が起きたり、異物反応でしこりができることがあります。市販のマダニ除去機材を使って取ることもできますが、可能であれば動物病院で処置してもらいましょう。

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)について

名前の通り、高熱が出て、血小板という血液を固める細胞や、白血球という免疫に関係した細胞の数が減少します。下痢や嘔吐のような消化器症状がみられることもあります。

この病気が人で発症するかどうかは免疫力の低下と関係していると考えられており、ほとんどの患者さんが50歳以上です。人でも犬や猫でも、症状自体はほとんど変わりませんが、症状の重さには動物種によって違いがあります。猫でもっとも症状が重く出て、次が人、犬と続きます。

感染して発症してしまった場合、有効な治療法はないため、対症療法を行います。そのため、マダニをしっかり予防することが非常に重要です。

さいごに

マダニの被害は西日本での発生が多く、東日本や北日本ではまだ目立った被害はほとんど報告されていません。しかしながら、SFTSウイルス自体は東日本の野生動物から検出されており、いつSFTSに感染してもおかしくない状況です。

根本的な治療がない以上、とにかく予防をきちんとしていくことが大事です。予防期間も、以前はあたたかい季節だけ予防しておけば大丈夫、という考えでしたが、今は年間を通じて予防しておくべきだという考えが広まっています。その分コストは上がりますが、安全のために積極的に予防をしましょう。

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