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犬の歯周病の原因と治療について

獣医師
高橋 渉
[記事公開日] 2019-11-11 [最終更新日] 2019-11-11
・歯周病の原因
・歯周病が進行するとどうなるか
・歯周病の治療
・歯周病の予防
犬の歯周病の原因と治療について
犬の歯周病と聞くと、歯の問題と考えるかもしれませんが正確には歯の周り、つまり、歯肉や歯槽骨という歯が植わっている顎の部分などが炎症を起こす病気です。問題となって飼い主様が来院されるのは多くが成犬や高齢犬になってからですが3歳以上の犬の80%が発症しており、早い子だと生後数カ月で発症している場合もある犬で最も多い病気です。今回はこの病気の原因や治療、予防について解説いたします。

歯周病の原因

野生の動物や大型犬では、歯周病は少ないかあっても軽度なことが多いです。歯周病で問題となる犬種は、小型犬であり、特に顎の小さい、歯と歯の間の密な子が多いです。そのうち、ダックスフンドはその中でも重篤になりやすいことが多いです。原因には多くのことが挙げられますが例としては、歯に付着しやすい食事、ストレス、咀嚼の少なさ、年齢による免疫の低下ないし全身の疾病、体質、歯並び、日々のオーラルケアをしてないもしくは不十分などがあげられます。

歯周病が進行するとどうなるか

①内歯瘻、外歯瘻、口鼻瘻管
歯周病が進行すると、根尖周囲病巣という根尖と呼ばれる歯の根っこの部分に炎症が生じ、その病巣を排出するために瘻管という排出路を作り出します。その出口が口の中にできた場合を内歯瘻、口の外にできた場合を外歯瘻、鼻の中にできた場合を口鼻瘻管と呼ぶ。歯周病の進行以外にも歯が折れてしまったり、削れてしまって歯髄に細菌が感染した場合にも起こる。
②顎の骨折
主に下顎の臼歯と呼ばれる歯に根尖周囲病巣が起こった場合、その部位の骨がとても脆弱となってしまうため病的骨折をおこすことがある
③全身への影響
犬においては歯周病によって、細菌やその毒素、炎症物質などが全身の循環に回ることで心臓、肝臓、腎臓など病気を起こすことがあります。最悪の場合、敗血症などにより死亡する可能性もあります。

犬の歯周病の原因と治療について

歯周病の治療と予防

①歯垢歯石の除去(スケーリング)
歯周病の治療は第一に歯垢歯石の除去(スケーリング)です。超音波スケーラーという歯垢歯石を除去する器具を用いて、歯垢と歯石を歯面から除去します。歯周病を起こしている子の多くは目に見える範囲だけではなく、眼に見えない部位の歯と歯肉の間の歯周ポケットを綺麗にすることが治療となるので、歯の見えるところだけではなく、そのポケットをキュレットといわれる道具を用いて除去することが大切になります。
そして、歯面を綺麗にした後、歯面研磨(ポリッシング)を行い、歯の表面を磨くことで再付着を防ぎます。
※最近では獣医師以外の無資格者や民間資格者による無麻酔での歯石取りを行うショップやサロンがありますが、無麻酔での歯の処置は、大変危険でありたびたび事故が起こるばかりか、目に見える部位の歯石除去や研磨を行うのみですので治療、予防効果がないもしくは少ないです。また、多くは犬に対し痛みと恐怖を与えるため、もっとも重要な処置後の日々のケアの妨げになる可能性もあります。日本小動物歯科研究会でも無麻酔での歯石除去の危険性が喚起されています。

②抜歯
歯周組織の2/3程度が破壊されている場合などは、修復が困難とされるため抜歯が適応とされます。抜歯はエレベーターといわれる器具や多根歯といわれる根っこが分かれている歯に対してはバーといわれる歯を分割する機械を用いて行います。抜歯したのちによく洗浄を行い、吸収糸といわれる溶ける糸で歯肉を縫合します。歯を抜いた部位などによっては癒合するまでの間(約2~4週間)柔らかい食事を与える必要があります。

犬の歯周病の原因と治療について

歯周病の予防

①歯磨き
最も予防効果が高いのは人と同様、歯ブラシでの歯垢の除去です。歯垢が歯石に代わるのが犬の場合は3~5日程度です。歯石になってしまうと歯ブラシでの除去が難しくなるため、一日おき、ないし毎日の歯磨きは必要です。今すでに歯に歯石がついてしまっている場合でも、スケーリングの前に歯ブラシに慣らしていただくとその後の再付着が予防することができます。
②予防ケア用品
現在ペットショップや動物病院などでは様々な口腔ケア用品が販売されています。ガムやチューブ、液体タイプのものなどがありますがその予防効果はまちまちでその子その子にあったものを探してみると良いでしょう。しかし、多くの場合は単体での予防効果が薄く、歯磨きの補助と考えるとよいでしょう。

犬の歯周病は予防によって防ぐことができる病気です。ご家族は日々犬の口の中を覗いてみて、臭いの変化や歯石がついていないかなどを確認してみてください。異常が見られたり、お口を覗くのが難しければお近くの動物病院への受診をお願い致します。

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