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犬の特発性脳炎 最新治療と診断法①

獣医師
久保井春希
2019-09-30
犬には様々な脳神経疾患が存在するが、今回はMRIの普及で診断可能となった特発性脳炎についてその最新治療と診断法についてご紹介していきます。
犬の特発性脳炎 最新治療と診断法①
犬では免疫介在性溶血性貧血や多発性関節炎、特発性リンパ球性甲状腺炎などあらゆる臓器で免疫介在性(自己免疫性)の疾患がみられる。それは脳や脊髄でも例外ではありません。
犬では原因不明の脳炎や脳脊髄炎がしばしば認められます。では、その脳炎をいかに診断し、治療していくのかをご紹介していきます。

犬の特発性脳炎とは?

犬の特発性脳炎の代表格として
①壊死性髄膜脳炎=NME
②壊死性白質脳炎=NLE
③肉芽腫性髄膜脳脊髄炎=GME
④ステロイド反応性髄膜炎・動脈炎=SRMA
があげられます。

NMEとNLEはいずれも脳実質壊死を伴う非化膿性脳炎があるが分類は過渡期であるため今回は分けて紹介します。
若いパクが急激に進行する神経症状を呈して死亡した脳炎がNMEとして認識されており、別名パグ脳炎という異名がつけられています。
ヨークシャテリアでは大脳皮質の壊死とともに、パグのNMEではまれな脳幹病変が認めらNMEとは病理像も異なることからNLEと区別していました。

犬の特発性脳炎 最新治療と診断法①

パグのNMEについて

発症年齢の中央値は2歳です。
小型の雌に好発すると行った報告もあるが、特定の関連性を示すまでには至っていません。

臨床症状として、発作、運動失調、視力障害などが現れやすいとされています。
初期は大脳皮質の炎症ですが、進行すると大脳基定核や脳幹、小脳が侵され神経症状が重篤になっていきます。最終的には重積発作や誤嚥により死亡することが多いです。

パグのNME 画像診断

パグで急激に進行する神経症状がみられたら、速やかに画像診断にうつる必要があります。
初期病変は大脳の髄膜直下や皮髄境界の灰白質側に現れます。
周囲が造影剤で増強されることもあります。慢性経過をたどると大脳皮質は広範囲に軟化し、基底核や視床の病変も認められるようになります。

犬の特発性脳炎 最新治療と診断法①

NMEの治療と予後

初期治療として免疫抑制量(2〜4mg/kg/day)のプレドニゾロンを開始しています。
加えて発作歴がない場合でもフェノバールビタールやゾニサミドなどの抗てんかん薬を開始します。
脳浮腫が強い場合などはマンニトールを点滴します。
免疫抑制剤やシトシンアラビノシド 50mg/kg 12時間ごとに4回打ちを3週ごとに行っていく抗がん剤治療なども現在行われています。
パグの場合では生存期間の中央値は93日であり、数ヶ月から3年の幅が報告されています。

犬の特発性脳炎 最新治療と診断法①

脳脊髄液検査による診断法

特殊検査ではありますが、画像診断に合わせて後頭骨にある大槽より穿刺して脳脊髄液を採取してくる検査法が有効とされています。
かなりの熟練した技術と細胞をカウントするなど操作の複雑性がありますが、非常に有用でありぜひ実施していただきたいです。脳炎の場合 タンパク大量とパグ脳炎を疑う場合はGFAPの測定も行なっていただきたいです。

パグ以外の犬種のNMEおよびNLE

パグ脳炎と同様に小型の犬種で起きることが多く、発症年にも幅があります。
画像所見ではNMEはパグ脳炎と同様であり、NLEでは大脳白質の炎症と軟化・壊死および脳幹の炎症が認められます。

こちらもやはり画像診断およびタンパク定量が診断においては重要となってきます。
治療としてもパグ脳炎と同様の治療を実行していきます。違いとしては予後がうまくコントロールできれば良好であり、数年以上にわたって維持できている報告もあります。

犬の特発性脳炎 最新治療と診断法①

まとめ

NMEやNLEはしっかりとした画像診断と髄液検査において高度な診断が可能となっています。
正しい診断と治療を受けることで予後に大きく影響すると知っていていただきたいです。

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