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愛犬との絆を築くための基礎トレーニング

ペット飼育管理士
増田暢子
[記事公開日]  [最終更新日]
人と一緒に暮らす犬には、家族や他人、他の動物たちともうまく付き合えることが必要不可欠です。そして、愛犬にとって最もふさわしいトレーナーは、飼い主さんです。愛犬が基本的なコマンドを覚えたら、それらをしっかりと身につけさせ、飼い主さんと愛犬の絆を築きましょう。
[ 目次 ]
愛犬との絆を築くための基礎トレーニング

なぜトレーニングが必要なのか

犬のトレーニングと聞くと、対象は大型犬だと思っている方が多いかもしれません。しかし、大型犬はもちろん、小型犬にもトレーニングは必要です。一昔前は、犬は番犬として外に繋ぎ飼いされていることが一般的でした。その頃の犬には、不審者の侵入を知らせるために吠えたり、場合によっては侵入者に襲いかかったりすることが求められていました。そのため、あまりトレーニングに重きが置かれていなかったのです。

しかし、今や室内飼いの犬が増え、人と一緒に暮らすことのできる犬が求められています。また、鳴き声や犬の行動が原因となる近隣トラブルも避けなければなりません。犬と一緒に暮らしている方が、犬と共に快適に暮らせることも必要ですが、近隣の方達や、散歩やドッグラン、動物病院などで出会う人や犬などともうまく過ごすことが求められているのです。特に、大きな自然災害が増えてきている最近では、避難所で一緒に暮らせるかどうかは、その犬の生涯を大きく左右する問題となるでしょう。

そのためには、幼犬の頃の簡単なしつけだけではなく、人間社会の一員として暮らすことのできる犬にするために、きちんとしたトレーニングを受けさせることが必要なのです。

愛犬にとって最もふさわしいトレーナーは飼い主さん

ヨーロッパでは、犬を飼い始めることはトレーニングを始めることを意味しています。飼い犬が他人に障害や損害を与えた場合のペナルティが大きいため、ごく普通のこととしてすべての飼い主が一定水準のトレーニングを受けているのです。

ヨーロッパでは、最もトレーナーにふさわしいのはその犬の飼い主であるという考え方が一般的です。そのため、訓練所に犬を預けてトレーニングをしてもらうのではなく、一定の期間スクールに通い、飼い主と愛犬が一緒にインストラクターから指導を受ける方式が普及しています。

また最近では、「叱る・罰する」ことはせずに「褒める」ことで犬の良い点を強化していくトレーニング法が一般的になりました。

これらの考え方は、最近の日本にも普及しつつあります。愛犬と一緒にトレーニングを受けられるスクールもできてきましたし、トレーニングも、叱るのではなく褒めることで良い点を強化していく方法が一般的です。

犬と一緒に暮らしている飼い主さんは、スクールなどをうまく利用して、ぜひ愛犬に基本的なコマンドを出し、愛犬が喜んでそれに従うような関係になってください。

愛犬との絆を築くために必要な基礎的なプログラム

基本的なコマンドは学習済みという前提で、今回はご自宅で飼い主さんが愛犬と絆を築くために必要な、ごく基礎的なプログラムを紹介します。

使うコマンドは「おいで」「お座り」「伏せ」「待て」の4つです。これらのコマンドを使って、このプログラムでは『愛犬が喜んで飼い主さんのコマンドに従い、落ち着いて自分の場所にじっとしていられるようになること』を目的にしています。

準備

このプログラムは、ご褒美として愛犬が大好きなおやつを使います。褒めるときに与える1回の量は少量なので、小さいものか、またはちぎって小さくできるものを選んでください。1回のプログラムで使うご褒美の目安は15個ほどです。これを、すべて片手で持てるくらいの大きさにしましょう。

実施するタイミング・時間

しっかりと目標が達成できるまでは、1日最低2回は練習しましょう。タイミングは生活リズムに合わせて構いませんが、理想は、食餌前のお腹をすかせているタイミングが良いでしょう。1回の練習時間は10分を目安としましょう。

注意事項

このプログラムを実施するときには、下記について注意してください。

1. コマンドを出す口調
命令口調ではなく、話しかけるように、ゆっくりと優しい声で出しましょう。
愛犬を緊張させないようにしてください。

2. ご褒美をあげるタイミング
コマンドを出す前にご褒美をあげてはいけません。そうしてしまうと、おやつをもらわないと動かないようになってしまいます。
また、コマンドに従った場合、ご褒美は3秒以内に与えてください。時間が経ってから与えても、それがコマンド成功に対するご褒美だということが愛犬には伝わりません。

3. 飼い主さんの態度
プログラムの最中に余計な言葉を掛けたり愛犬を撫でたりしてしまうと、愛犬はプログラムに集中できません。特に最初のうちは、飼い主さんの方が愛犬と対面するように位置どり、お互いにプログラムに集中しましょう。

4. 愛犬への励ましを忘れずに
特に最初の頃は、コマンドの意味を分かっていてもうまくできないことが多いかもしれません。そのような時は、合間に愛犬が得意なコマンドを混ぜて、励ましながら進めるようにしてあげましょう。愛犬が楽しみながら練習できることが大切です。

5. 上達してきたときの対処方法
最初の頃は、コマンドを上手に実行できる都度、ご褒美をあげましょう。愛犬がきちんと学習し、簡単にできるようになってきたら、少しずつご褒美をあげる回数を減らしていきます。いつご褒美をもらえるのかわからない状況の方が、愛犬は学んだことを忘れなくなるからです。ご褒美の頻度は、様子を見ながらうまく調節しましょう。

6. うまくできなくても叱らないこと
トレーニングの時間は、愛犬にとって楽しい時間でなければなりません。叱って言うことをきかせても、叱る人がいない時には言うことを聞かない犬になってしまいます。コマンドをきちんと実行すると褒められるので嬉しい、楽しいと思ってもらうことが大切です。

7. 練習場所
室内飼いの場合は、ソファやベッドのような愛犬のお気に入りの場所ではなく、床の上で行ってください。
きちんとコマンドに従えるようになったら、外などの興奮しやすい場所でもトレーニングを行い、どこでも落ち着いて飼い主さんと行動できるようにしていきましょう。

プログラム内容

基本セットは、下記の1〜4の組み合わせと終了の5です。最初のうちは、うまくできないかもしれませんが、繰り返し練習することで、うまくできるようになっていきます。うまくできるようになったら、この4つのコマンドを複雑に組み合わせて練習しましょう。

1. 呼び寄せる
くつろいで落ち着いた状態の愛犬を呼びます。
何度も名前を呼ぶのではなく、1度だけ呼ぶようにしましょう。

2. お座り
おやつを持った手を後ろに隠してから、「お座り」とコマンドを出しましょう。
コマンドに従った場合は「よし」などと声を声をかけながらすぐにご褒美を1つだけ与えます。
もしもお座りをしないとか、興奮してどうにもならなくなってしまった場合は、プログラムをすぐに終了してください。愛犬がおやつを欲しがっても無視します。30分は無視しましょう。その後、愛犬が落ち着いたら再開します。

3. 伏せ
お座りができたら、次は「伏せ」のコマンドを出しましょう。
上手にできたら、すぐにご褒美をあげます。
もし、愛犬がまだ「お座り」と「伏せ」を区別できない状態の場合は、少し場所を移動して、改めてそこで「お座り」をさせるのでも構いません。

4. 待て
次のコマンドは「待て」です。飼い主さんは、「待て」のコマンドを出したら1歩後ろに下がりましょう。愛犬がそのまま一緒について来ずに、その場で待っていられれば合格です。ご褒美をあげてください。
愛犬が待っていられずについて来てしまった場合は、「お座り」のコマンドを出します。従った場合はすぐにご褒美をあげます。
「待て」ができるようになって来たら、5秒、10秒、15秒と待ち時間を少しずつ伸ばしていきます。
また、待てをさせる時の飼い主さんの位置も、少しずつ愛犬から距離を置くようにしていきます。
最終的には、飼い主さんが隣の部屋などの見えない場所に行っても落ち着いて5分ほど待っていられるようになることを目指しましょう。

5. 終了
トレーニングにはメリハリが必要です。終了する時は、はっきりと終わりだということを知らせます。
また、愛犬が気持ちよく終了できるように、最後は愛犬が必ずうまくできるコマンドを出すようにしましょう。
最後のコマンドがうまくできてご褒美をあげたら、「終わり!」と言いながら手を軽く叩いて愛犬を解放し、思う存分撫でてあげましょう。

難しく考えないで、でも途中で諦めないで

このプログラムは、本当に基礎的なことしか行っていません。しかし、このプログラムを毎日練習することで、飼い主さんと愛犬の絆は深まります。

愛犬が楽しみながらトレーニングをするためには、飼い主さんが楽しんでいなければなりません。飼い主さんの緊張は、愛犬にも伝わります。自宅でトレーニングをすることについて、あまり難しく考える必要はありません。前述の注意事項さえ守れば、きっと愛犬との絆を築くことができるはずです。

何回か練習を重ねるうちに、愛犬は落ち着いてコマンドに従えばご褒美がもらえることを学習します。最初のうちはうまくいかないことの方が多いかもしれませんが、諦めずに根気よく続けましょう。

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