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犬と猫にマイクロチップは必要?法律改正で今改めて考える価値

動物看護士
桐村佳那
[記事公開日]  [最終更新日]
2019年6月12日に成立した改正動物愛護法の中で、マイクロチップに関する項目に大きな変化が生まれました。今再び注目を集める愛犬・愛猫のマイクロチップ事情について、愛する「うちの子」にマイクロチップは果たして必要なのか、ぜひこの機会に考えてみましょう。
[ 目次 ]
犬と猫にマイクロチップは必要?法律改正で今改めて考える価値
「体に電子機器を入れるなんて怖くないの?」「迷子札だけじゃダメなの?」とマイクロチップがどんなものかあまりよく知らないという人はたくさんいますよね。
また、自分の愛犬・愛猫にマイクロチップを装着するかどうかは、そのメリットを詳しく知らないと決断もできません。

今回は、法律の中でマイクロチップに関わる部分がどんなふうに変化したのか、マイクロチップを愛犬・愛猫に装着する価値はあるのかどうかについてお話します。

マイクロチップ装着に関して法律で改正されたこと

2019年6月12日に、法律の中でペットのマイクロチップに関する内容が大きく変化したことはご存知でしょうか?
今回「動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護法)」で改正されたのは、「マイクロチップ装着の義務化」です。

「義務化」というのはつまり、「マイクロチップを装着しないと法律違反になる」ということが明確化されたということです。ただし、今回対象になったのは犬や猫を販売する業者のみで、一般の飼い主さんは「可能な限り入れてくださいね」という努力義務にとどまりました。

けれども、「じゃあ普通の家庭には関係ないのね」というわけではありません。マイクロチップが装着された状態の子犬・子猫をペットショップなどから迎え入れた場合、「所有者の登録情報の変更」が必要になります。

つまり、データベースに記録されている所有者が、「販売業者から飼い主である私に移りましたよ」ということをきちんと届け出なければならないというわけです。

今回成立した改正動物愛護法は交付から1年以内に施行されますが、このマイクロチップに関する部分の実際の義務化はもう少し後の3年以内となる予定です。世界ではすでに一般の飼い主さんにも義務化されている国があるように、いずれ日本にもその流れがやってくるかもしれません。

その時に焦って考えなくても良いように、今からマイクロチップの知識をぜひ取り入れておきましょう。

犬や猫に装着するマイクロチップってどんなもの?

マイクロチップとは、直径2㎜、長さ約8~12㎜の円筒形の電子標識器具のことです。
この細長い小さな器具の内部には「15桁の認識番号」が記録されていて、これは世界で唯一その子のためだけの番号になります。

さらにこの器具の外側は、体に入れても健康に問題がない特殊な生体ガラスで覆われ、安全に使用することができます。マイクロチップが稼働するための電池やバッテリーなどは一切必要ないため、生涯同じ機器を使うことができるのが特徴です。

とは言え、「果たして体に器具を埋め込むことがどこまで安全なのか不安…」と感じる飼い主さんが多いのが事実ですよね。
ここからは順を追って、マイクロチップにまつわるあれこれをご紹介します。

犬と猫にマイクロチップは必要?法律改正で今改めて考える価値

装着されたマイクロチップはどうやって読み取るの?

体に装着されたマイクロチップは、専用の読取器(マイクロチップリーダー)によって数字を読み取ります。多くの読取器はハンディタイプで、使い方はとても簡単です。
犬猫の場合は首の後ろに装着することが基本になるため、電源を入れて首の後ろに読取器をかざします。

マイクロチップが入っていた場合、そしてきちんと動作している場合には、読取器に15桁の番号が表示されます。その番号をデーターベースと照合すると、飼い主さんの情報を確認することができるというわけです。

こういった読取器は通常、実際に装着を行うことが多い動物病院や、迷子犬・猫を保管する各自治体の動物愛護センター、保健所などに置かれています。

愛犬・愛猫にマイクロチップを装着する手順と料金

マイクロチップの装着は獣医療行為にあたるため、獣医師によって行ってもらわなければいけません。

まずは二重装着にならないよう、読取器を体にかざしてマイクロチップが既に装着されていないか確認します。その後埋め込むマイクロチップがきちんと読み取れるものか確認した後、専用の埋め込み器(インジェクターと呼ばれる注射器のようなもの)で注射するように埋め込みます。

マイクロチップを装着したら、改めて読取器を首の後ろにかざして、マイクロチップが正しく装着されたかを確認します。
マイクロチップの装着は、動物病院で数千円で行うことができます。

装着後に忘れてはならないのは、専用の申込用紙を使って
・飼い主さんの情報
・愛犬・愛猫の情報
をデータベースに登録することです。

これを忘れてしまうと、読取器で番号が読み取れるだけで「飼い主さんが誰なのか」がまったく分からず、マイクロチップを装着した意味がなくなってしまうので注意してくださいね。

犬と猫にマイクロチップは必要?法律改正で今改めて考える価値

マイクロチップのメリット

マイクロチップを装着することで得られるメリットを知れば、「うちの子にも着けておいた方が良いかも?」と思うきっかけになりますよね。
ここからは、マイクロチップを装着するメリットをいくつかご紹介しましょう。

1. 半永久的に使用できる

基本的に動物の生涯にわたって使用できる耐用年数となっているため、交換は不要です。
マイクロチップからのデータの発信は、電波を用いて行われています。

2. 外部からの衝撃に強く、外れる心配がない

迷子札や鑑札、首輪の装着で問題になるのが、時に外れることがあるというものです。
特に、長期間外をさまよったり、ぶつけたりすることで劣化したり破損することも珍しくありません。

また、災害時の慌ただしい時には、普段から着けっぱなしにしていない場合、着ける暇もなくいつのまにかペットの姿が見えなくなっていることもあります。

3.高い安全性

現在日本国内では、マイクロチップを装着したことによる副作用・ショック症状などは1件も発生していません。
また、外国のデータも含め、腫瘍の発生などの報告もほとんどありません。

4. 装着が簡単

専用の注射器のようなインジェクターで注射するように行われるため、マイクロチップの装着は非常に簡単です。また時間もかからずにすぐに済むため、愛犬・愛猫の負担はほとんどありません。

5.互換性がある

マイクロチップのメーカーはいくつかありますが、国内のメーカーではISO(国際標準機構)規格に沿ったものが流通しています。同じ規格であれば、メーカー違いであっても読取器で15桁の番号を読み取ることができます。

犬と猫にマイクロチップは必要?法律改正で今改めて考える価値

マイクロチップの装着で飼い主さんが心配・疑問に思うこと

こういったメリットがあっても、まだまだ気になることは多いですよね。
飼い主さんがマイクロチップに対してよく心配されること・疑問に思うこともピックアップしてみましょう。

「装着する時は痛いのでは?」

飼い主さんが心配する装着の痛みですが、埋め込み用の針は採血用のものに比べやや太くなるものの、ほとんど痛みは変わらないと考えられています。
麻酔も本来必要ない程度ですが、去勢・避妊手術などの麻酔をかけるタイミングで同時に装着する飼い主さんもいます。

「マイクロチップで居場所がわかるの?」

マイクロチップはあくまで認識番号を読み取るためのものなので、GPS機能のような位置情報がわかるシステムはついていません。あくまで読み取った番号からデータベースにアクセスして、飼い主さん情報と動物情報を知るための器具です。

「マイクロチップは体の中で移動してしまうって聞いたけど…」

最初に埋め込んだ場所からずれてしまったというパターンはたまにあります。ただし、読み取れないほど体の深くに入り込んでしまうわけではなく、あくまで皮下と呼ばれる体の浅い所にとどまります。
「うちの子のマイクロチップは大丈夫かな?」と心配な人は、動物病院での健康診断時などに、どこで読み取れるか、きちんと読み取れるかを定期的に確認してみましょう。

「レントゲンやCT・MRI検査には影響はないの?」

レントゲン検査やCT検査によってマイクロチップが異常を起こすことはありません。
また、一部のMRI検査では画像の乱れが出る可能性はありますが、検査後にマイクロチップが愛犬・愛猫の体に影響を与えた例はありません。

迷子対策・再会のための手段を考えておこう

東日本大震災以降、マイクロチップの重要性が改めて見直されてきました。
ある自治体を対象にした調査で判明した限りでは、首輪だけしか装着されておらず、飼い主さんと再会できないままだった犬・猫があまりに多かったのです。

迷子札・鑑札などを装着していた子は飼い主さんが100%見つかりました。しかし、もしかしたら飼い主さんの情報を示すものを着けていたのに、それらが外れて首輪のみになってしまい、飼い主さんと出会えなかった子もいたかもしれません。

また、猫では首輪以外を装着していた例がこの自治体ではありませんでした。

「もしかしたら離れ離れになる時が来るかも」
そんないざという時のために、再会するための1つの手助けとなる手段として、マイクロチップの必要性をぜひ今から検討してみてくださいね。

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