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猫の不妊・去勢手術のメリットとデメリット

キャットケアスペシャリスト
増田暢子
[記事公開日] 2019-08-27 [最終更新日] 2019-08-27
猫の不妊・去勢手術の目的が望まない妊娠による不幸な動物を増やさないためであることは、皆さん既によくご存知です。しかしこの手術の目的は、今やそれだけではありません。デメリットも知った上で、愛猫に対して後悔しない選択ができるように、不妊・去勢手術について理解しましょう。
猫の不妊・去勢手術のメリットとデメリット

猫と一緒に暮らすことは、その猫の一生涯にわたり面倒をみること

猫と一緒に暮らすということは、その猫の一生涯にわたり、面倒をみることを意味しています。猫と一緒に暮らし始める時に、途中で猫の飼育を放棄しようなどと考えている飼い主さんは皆無だと思います。しかし、長い人生では、いつ何が起こるか分かりません。愛猫の病気や問題行動が原因で、一緒に暮らすことが難しくなることもあるでしょう。極端かもしれませんが、万が一飼い主さんの寿命が愛猫よりも先に尽きてしまうようなことになったとしても、その後、愛猫が幸せに暮らしていけるようにと考える必要もあるでしょう。

これらのことを考えると、猫の不妊・去勢手術は大きなメリットをもたらしてくれるものだと言えます。もちろん、良いことばかりではありません。手術そのもののリスクもありますし、後遺症などのデメリットもあります。また、病気でもないのに手術をすることや、自然の姿ではなくしてしまうことに、嫌悪感を感じている飼い主さんもいることでしょう。しかし、デメリットも正しく理解した上で愛猫にとって最適な選択ができるよう、猫の不妊・去勢手術について、改めて考えてみませんか。

猫の不妊・去勢手術の目的とメリット

猫に不妊・去勢手術を行うメリットを、下記に挙げます。

1. 望まれない交配による妊娠を避ける
人や犬とは異なり、猫は交尾排卵といって、交尾をした刺激で排卵をします。そのため猫の場合は、交尾をしたらほぼ確実に妊娠します。また猫は、栄養状態が良く、子育て中でもなく、人工光により自然の日照時間に影響を受けないような環境であれば、一年中いつでも妊娠することができます。妊娠期間は約2ヶ月と短く、一度に生まれる子猫は4〜8頭(平均5頭)にもなります。産後約2ヶ月の授乳期間が終わると、母猫はまた次の妊娠ができるようになり、さらに生まれた子猫も、生後6ヶ月ほどで妊娠できるようになります。このことから、環境省では1頭の雌猫が1年後には20頭以上に、3年後には2000頭以上に増え得ると試算しています。

2. 性ホルモンに関連した病気の予防
不妊・去勢手術を行うことで、性ホルモンが引き起こす、生殖器などの病気を予防することができます。雌猫の場合は乳腺腫瘍、子宮蓄膿症を、雄猫の場合は前立腺肥大症や会陰ヘルニア、肛門周囲腺腫を予防できます。特に雌猫の場合、乳腺腫瘍のほとんど(80〜90%)が悪性ですので、その予防効果は大きいと言わざるを得ません。初回発情前(生後6ヶ月以前)に卵巣を摘出した場合は91%、1歳までに行った場合でも86%の乳腺腫瘍発症リスクの減少がみられたという報告があります。

3. 性ホルモンに関連した問題行動の抑制
特に猫の場合は、問題行動抑制の目的で不妊・去勢手術を行うことも多いようです。雌猫の場合は、発情期における激しい鳴き声を、雄猫の場合は他の雄猫に対する攻撃やマーキングのためのスプレー行動、屋外への逃走などの抑制を期待できます。しかし問題行動については、一度学習してしまうと、性ホルモンの分泌がなくなっても行動を抑制できなくなることが多いため、初回発情または問題行動を起こす前の若齢期に不妊・去勢手術をすることが望ましいです。

猫の不妊・去勢手術のリスクとデメリット

猫に不妊・去勢手術を行うデメリットを、下記に挙げます。

1. 麻酔に対するリスク
不妊・去勢手術の際には、全身麻酔が必要です。手術前には健康診断を行い、問題がないことを確認しますが、なかには各種麻酔剤に対するアレルギーを持っている場合があります。手術の実施時期を考えると、多くの場合、その猫にとっては生まれて初めての全身麻酔が不妊・去勢手術であることが多いでしょう。不妊・去勢手術自体は難しい手術ではありませんが、全身麻酔に対するリスクは、決して0%にはなりません。

2. 肥満
不妊・去勢手術を行うと基礎代謝率が減少し、カロリー要求量が20%前後減少します。しかも、行動範囲が狭まったり攻撃行動が抑制されることから運動量も減る傾向にあります。しかしながら、猫自身の食欲は変わらないか、反対に増加する傾向にあります。そのため、不妊・去勢手術後に肥満になる猫は多いです。猫に規則正しく運動をさせることはできませんので、与える食餌の量を計算し、過食させないように飼い主さんがコントロールしましょう。目安は術前の20%減です。計算とその後の体重管理で、適正な給餌量をみつけましょう。

3. 手術後の再発情
稀にですが、不妊手術後に再発情する場合があります。特に肥満の場合に多いのですが、卵巣を取り囲んでいる卵巣嚢に脂肪が多くて見えづらく、卵巣を取り残してしまうことがあるためです。また猫の場合、卵巣以外の部分に卵巣がある異所性卵巣や、副卵巣が存在している場合もあります。このような場合は、再手術で卵巣の摘出を行うことになるでしょう。

猫の不妊・去勢手術とはどのような手術なのか

では、実際に猫の不妊・去勢手術とは、どのような手術なのでしょうか。

<不妊手術>
雌猫に対して実施する手術です。手術の種類は下記の通りです。
1. 卵管切除のみを行う
2. 子宮摘出のみを行う
3. 卵巣摘出のみを行う
4. 卵巣摘出と子宮摘出の両方を行う

1.および2.は、妊娠を阻止するという目的のみの場合の手術で、現在は一般的ではなくなりました。手術のメリットとデメリットの双方を考慮すると、3.を推奨する獣医師も多いようですが、現在一般的に行われているのは、4.の卵巣と子宮の双方を摘出する手術です。3.にするか4.にするかは、獣医師とよく相談した上で決めると良いでしょう。飼い主さんは、獣医師に遠慮することなく、納得がいくまで質問し、話し合ってください。

<去勢手術>
雄猫に対して実施する、精巣を摘出する手術です。精巣が正常に陰嚢内にある場合は、陰嚢の上部を切開して摘出します。稀にですが、鼠蹊部にある場合はその部位を、腹腔内にある場合は雌と同じように腹部を切開して摘出することになります。

避妊薬による避妊法について

ここまでの説明で、不妊・去勢手術が持っているメリットやデメリット、そして手術自体がどういうものかをご理解頂けたと思います。それでも、どうしても猫に手術を受けさせたくない、または先天性の疾患等により手術を受けさせるリスクの方が大き過ぎるという場合は、発情抑制剤という薬で避妊させる方法があります。

薬剤は、経口薬、注射薬、インプラント剤などさまざまな形態がありますが、いずれも雌にのみ有効な薬剤です。しかも、日本国内では犬の薬とされており、猫に適用する場合は「効用外使用」という扱いになります。(海外では猫に対する使用も認可されています)

しかし、この薬は一時的な使用には向きますが、一生涯にわたるような長期的な使用には向きません。子宮蓄膿症などの子宮疾患を引き起こしたり、糖尿病を誘発したりするという報告があるからです。

最終的な決断は飼い主さん次第

不妊・去勢手術の目的が複数あること、メリットも大きいですが、デメリットも少なくはないことをご理解頂けたでしょうか。また、避妊薬もあることはありますが、長期的な使用にはリスクが伴うこともご説明しました。

愛猫に不妊・去勢手術を行うか否かは、最終的には飼い主さんが決めることです。この記事を参考に、不明点は積極的に獣医師に相談した上で、愛猫に最適な回答をみつけ、後悔しないようにして頂きたいと思います。

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