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犬の膵外分泌不全

獣医師
高木俊輔
[記事公開日] 2019-07-05 [最終更新日] 2019-07-05
膵臓には内分泌機能というホルモンを血液中に放出して身体のバランス(主に血糖値)をコントロールする働きと、外分泌機能という消化酵素を消化管に分泌して食べ物の消化を助ける働きがあります。このうち、外分泌機能が十分に働けなくなってしまう病気が膵外分泌不全です。一般的に下痢をするというイメージのある病気ですが、中には下痢をしないケースもあり、痩せていくけど元気が変わらないため、病気だと気づかれないこともあります。今回は膵外分泌不全について解説します。
犬の膵外分泌不全
膵外分泌不全は、膵臓の腺房細胞から分泌される酵素の量が減ってしまい、そのせいで消化不良を起こす病気です。犬の場合、以前は膵臓の腺房細胞が萎縮することが主な原因だと考えられていましたが、最近では慢性膵炎になり、その結果腺房細胞が失われてしまうことで必要な量の腺房細胞が足りなくなって膵外分泌不全になることも多いとされています。その他にも、腫瘍のように膵臓の大部分に障害が起こるような病気になると、膵外分泌不全を発症する可能性があります。猫では膵外分泌不全はほとんどないとされています。

どんな病気?

膵外分泌不全自体は自己免疫に関連した病気であると考えられており、同じ膵臓の病気である糖尿病を併発することは少ないのですが、もともと慢性膵炎があってその末期の状態だったり、腫瘍の影響で起こった膵外分泌不全の場合は、糖尿病を併発する可能性があります。
膵外分泌不全では、小腸内細菌過剰増殖(SIBO)と呼ばれていた状態になることがあり、そうなると膵外分泌不全自体が悪化してしまうことがあります。また、膵臓で合成される物質のうちビタミンB12(コバラミン)の吸収に必要なものもあり、膵外分泌不全になるとコバラミン欠乏症が起こることもあります。

なりやすい犬種は?

もっとも報告が多い犬種はジャーマン・シェパード・ドッグで、その他にはラフ・コリーやイングリッシュ・セッター、チャウ・チャウ、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル、ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア、コッカー・スパニエル、ウェルシュ・コーギーなどでも報告があります。小型犬が多い日本ではそんなに頻繁に遭遇する病気ではないかもしれません。

症状は?

たくさん食べているのに痩せてしまうというのが特徴的です。下痢をすることも多いのですが、膵外分泌不全でも下痢を起こさない子もいるため、下痢の有無だけでは診断できません。典型的な膵外分泌不全の便は、脂肪が未消化のまま含まれるために白っぽくて表面に光沢のある、においの強い便です。また、今までに膵炎になったことがあるかどうかも重要な情報になります。

診断方法は?

症状とそれがどのように経過しているのか、血液検査の結果から診断します。糞便検査の結果はそれだけでは確定診断を出すことはできませんが、コストも安く簡単に行えるため、補助的な検査として実施します。血液検査は、通常のスクリーニング検査(身体全体の状態を大まかに判断するための検査)では異常が認められないことが多いです。ただし、経過が長くてかなり痩せてしまった場合は、栄養に関連した項目に異常値が認められるようになります。それ自体は膵外分泌不全に特有の異常ではないため、血液検査は主に糖尿病など他の病気がないかを調べるために行います。現在のところ、最も信頼性が高い検査は血中トリプシン様免疫活性(TLI)を調べて、その数値が低くなっていることを確認することです。また、血液中のコバラミンと葉酸の濃度はその後の治療に重要になってくるため、こちらも測定することがあります。

治療法は?

膵外分泌不全になってしまった膵臓自体を治療することはできません。そのため、治療の目的は、不足した消化酵素を補充して症状を改善させることになります。また、この治療は基本的に一生続ける必要があります。消化酵素剤には様々な種類があり、どれがいいかは使ってみないと分かりません。そのため、症状が安定するまでは手探りで治療反応を調べていくことになります。治療を開始しても下痢や体重減少などの症状があまり改善しないケースがあります。その場合は、抗菌薬反応性腸症のような消化器疾患など他の病気を併発している可能性、消化酵素剤の不足の可能性、消化酵素剤の種類が合っていない可能性について考える必要があります。食事の種類も気をつける必要があります。膵外分泌不全に推奨される食事の条件は、高脂肪ではないこと、消化がよいこと、繊維が少ないことです。療法食の種類が充実している今は、様々なメーカーから膵外分泌不全に適したフードが発売されています。

さいごに

膵外分泌不全は、比較的良好な経過をたどる病気です。治療を始めてすぐの頃は消化酵素剤の種類や投与量に悩むことはありますが、一度コントロールがうまくいくと、その後は消化酵素剤を継続して与えることで長期にわたって元気で過ごすことができます。治療反応が悪い場合は、他の病気が隠れている可能性もあります。お家で状態をみながら、調子が悪そうになったらできるだけ早く動物病院を受診してください。

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