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犬のクッシング症候群について

獣医師
高木俊輔
[記事公開日]  [最終更新日]
犬にもホルモンの病気はたくさんありますが、その中でも最も発生が多いのがこのクッシング症候群です。ホルモンは身体の中のバランス調節という働きを担っているため、ホルモン分泌に異常をきたすと様々な症状が出てきてしまいます。今回はこのクッシング症候群について説明します。
[ 目次 ]
犬のクッシング症候群について
クッシング症候群は副腎皮質機能亢進症とも呼ばれます。
その名の通り、副腎皮質が働きすぎてしまうことにより、そこから分泌されるコルチゾールというホルモンも過剰になってしまい様々な症状が出てきてしまう症状の総称です。犬のホルモンの病気の中で最も多いとされ、5歳以上の中年齢〜高年齢で多く発生が報告されています。

副腎ってどんな臓器?

副腎は左右の腎臓のすぐ頭側にある非常に小さな臓器で、皮質と髄質の2層からできています。そして生命機能を維持するために必要な、様々なホルモンの分泌を行なっています。副腎皮質からは身体の中で糖分をコントロールしている糖質コルチコイド、無機イオンという電解質のバランスをコントロールしている鉱質コルチコイド、そして生殖機能に関連する性ホルモンのうち、特にアンドロゲンというホルモンが産生されます。副腎髄質からは、カテコールアミンであるエピネフリンやノルエピネフリンが分泌されており、身体のストレスに対する調節を行なっています。
副腎皮質ホルモンの分泌は脳内の下垂体という場所でコントロールされています。下垂体から分泌されるACTH(副腎皮質刺激ホルモン)というホルモンの作用で副腎皮質が刺激され、コルチゾールが分泌されるのです。ACTHの分泌量は、脳内の視床下部という場所で作られるCRH(副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン)というホルモンによってコントロールされています。つまり、視床下部ー下垂体ー副腎皮質の間のどこかに異常が起きてしまい、コルチゾールが過剰に分泌されてしまうことによって、クッシング症候群の症状が現れます。

原因は?

クッシング症候群は体内のコルチゾールが過剰になることに伴って様々な症状がみられる状態のことです。「自然発生クッシング症候群」と、「医原性クッシング症候群」の2つのタイプがあります。自然発生タイプは、実際に副腎機能が高まってしまっている状態であり、副腎は下垂体からのホルモンの影響や腫瘍化によって大きくなっています。自然発生タイプはさらに「下垂体性」と「副腎腫瘍」の2つに分けられます。下垂体性とは、下垂体に腫瘍ができてしまいACTHの分泌が過剰になってしまうことで副腎が刺激されるもので、犬のクッシング症候群の約90%がこのタイプだとされています。副腎腫瘍は副腎が腫瘍化することで働きが過剰になるもので、約10%がこのタイプだとされています。医原性タイプは、副腎皮質ホルモンを薬として投与した結果、体内のコルチゾールが過剰になってしまった状態です。
自然発生タイプはプードル、ダックスフンド、ボストンテリア、ボクサーが好発品種とされ、5歳以上の中年齢〜高年齢での発生が多いとされています。これに対して医原性タイプは、アレルギー疾患などの治療のために、長期にわたって副腎皮質ホルモンを投与されていた動物でみられます。

症状は?

最も気づきやすい症状のひとつは「多飲多尿」です。読んで字のごとく、水をたくさん飲んで、おしっこの量も増えます。左右対称にみられる脱毛、皮膚の菲薄化(皮膚が薄くなること)などの皮膚症状や、肝臓が大きくなったり内臓脂肪の増加、腹部の筋力が低下することでお腹が大きく膨らむ腹部膨満という症状もよくみられます。

診断方法は?

検査としては血液検査や画像検査があります。
血液検査でよく行われるのが「ACTH刺激試験」です。これはACTH製剤を投与する前と後でのコルチゾールの値を測定するものです。
画像検査でよく行われるのが超音波検査です。左右の副腎の形や大きさを調べることで診断の参考にします。下垂体性クッシング症候群では、左右の副腎が同じように影響を受けるため、両方とも大きくなります。副腎腫瘍性クッシング症候群では、腫瘍化した方の副腎が大きくなり、反対側の副腎は小さくなります。CTやMRIを使って下垂体や副腎を調べることもあります。特に下垂体は超音波検査では確認できないため有用な検査ですが、対応できる施設が限られていること、全身麻酔が必要なこと、高額であることなど、超音波検査に比べるとハードルが高くなります。

治療法は?

下垂体性、副腎腫瘍、医原性それぞれで治療法が異なります。
下垂体性では内服治療、放射線治療、外科治療があります。内服治療は副腎のホルモン産生を抑えるお薬を飲ませます。他の治療法に比べて身体への負担が少ないことやコスト面でメリットが大きいことが特徴です。薬の副作用も比較的少なく、最も一般的な治療法と言えます。お薬の量が多すぎると、副腎皮質の機能が抑えられすぎてしまうため、定期的なモニタリングを行っていきます。放射線療法は、腫大した下垂体に放射線を複数回に分けて照射するものです。この治療が可能な施設はまだ多くないですが、治療が成功するとしばらくの間治療をしなくてもいい期間ができます。外科治療は、腫大した下垂体を手術で切除する方法です。非常に難易度が高い手術になります。根本的な治療方法ではありますが、下垂体がなくなってしまうため、手術後は必要なホルモンを生涯にわたって投与する必要があります。
副腎腫瘍では内服治療、外科治療があります。内服治療は下垂体性と同じく副腎のホルモン産生を抑えるお薬を使います。外科治療は腫瘍化した副腎を手術で摘出します。下垂体性と同じく非常に難易度の高い手術になります。
医原性では、原因となっているステロイドのお薬を中止します。ただし、急に中止すると問題が起きることがあるので、徐々に投与量を減らしていきます。

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